密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

税制改正で相続税が、3000万円+600万円x法定相続人数になった。「サラリーマン家庭の相続」

著:相続相談解決チーム、服部修、海老原宏美、目黒雅和、服部仁

 

 税制改正によって、平成27年1月1日以降、相続税の基礎控除が変更された。それまでは、「5000万円+1000万円x法定相続人数」だったのが、「3000万円+600万円x法定相続人数」になった。これによって、納税者の数が増加するのは確実で、サラリーマン家庭でも相続税がかかる家が増えるとされる。

 相続税について解説した本。自営業ではなく、サラリーマン家庭を念頭において書かれているのが特徴である。具体的には、相続の流れ、相続財産の評価と計算法、節税対策、相続で発生する可能性のあるリスク、日常の備えや贈与、税務調査がどのように行われるのか、といったことが書かれている。

 遺言がある場合は原則その通りに相続されるが、そうでない場合は遺産分割協議を行う。仏壇・仏具は原則非課税。国外の財産も課税対象。生命保険の扱いはケースによって変わる。名義が別になっている口座でもみなし扱いで課税対象となる。不動産については国税庁の路線価もしくは倍率方式で評価する。タワーマンションが節税になる理由。上場株式の扱い。公社債。記念コインや金やゴルフの会員券。負債の扱い。

 

 対象の評価額を以下のように列挙して表にして書き出し、相続人別に基礎控除の計算を行うとわかりやすく把握できて良いようだ。
・自宅屋敷
・自宅敷地
・家財
・預貯金
・有価証券

 小規模宅地の特例。生命保険の利用。配偶者の税額軽減措置。生前贈与は相続の3年以内に行われた贈与は相続税の対象になる。相続リスクについては、家庭裁判所の調停が必要なケースなどが載っている。公正証書遺言の作成は、相続金額によるが、大体数万円が目安。

 相続というのは人生にそう何度もあるものではないから、一般人で相続に詳しいという人は少ない。相続税を払う可能性のある人、相続でもめたくない人にとって、あらかじめ知っておいた方がよいことがまとめられている本である。

 

単行本、240ページ、あっぷる出版、2016/7/28

サラリーマン家庭の相続

サラリーマン家庭の相続

  • 作者: 相続相談解決チーム,服部修,海老原宏美,目黒雅和,服部仁
  • 出版社/メーカー: あっぷる出版
  • 発売日: 2016/07/28
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

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