著:大槻 ケンヂ
大槻ケンヂがみずからの半生を振り返りながらながら、就職しないでサブカルチャーで食べてゆくヒントについて語っている本。
いやあ、笑った。
面白い。
勉強できない、運動できない、モテない、冴えない。
でも、表現だけはしたい。
大学にも全部落ちたからデザイン専門学校へ行ってみたけど長続きしない。
2浪してようやく下位の方の大学に入った後は留年。
そのうち、とうとうダメニート。
一方、中学で始めたバンドは、楽器ができないから灰皿や竹踏み健康器叩いて最初は「土人の音楽」。ところが時代が変わり、インディーズブームに乗って当たる。
しかし、母親からは「デビューするなら演歌にしなさい」といわれ、「プロミュージシャンという名のニート」生活を送り、その子に逃げられるというのが女性との唯一のコミュニケーションという状態。
抜擢された「オールナイトニッポン」では何を喋っていいかわからず叫んでいるだけで、半年で首になる。所属した事務所が潰れたことは合計4回。有名になったらなったで、今度は知らない人から平気でひどいことをいわれたりする。
一方、映画から学んだ小説の書き方なんかはなかなか有意義。曲先行で歌詞をつけるときは、まずタイトルを考えるといい。事務所がつぶれるときの見極め方(なにしろ4回つぶれている)。契約とか著作権とかも大事だよという苦労話。そして、人気が下がると暇になって、そこに入り込んでくるワナへの注意。
で、結局、なんだかんだといっても、サブカルで食っていくというのはどうやらそんなに楽なことではなさそうだという当たり前のことが、よ~くわかるようになっている。アングラがサブカルになった経緯や、日本のサブカルの変遷についても触れられている。巻末の宇多丸との対談も面白い。
文庫、224ペー、KADOKAWA、2017/11/25