著:東京工業大学エンジニアリングデザインプロジェクト
近年、注目を集めているデザイン思考について書かれた本。大学で学ぶ理論の多くは「どのように作るか」であって、「何を作るべきか」に知見を与えるものではない。デザイン思考はこの比較的手薄な「何を作るべきか」へのとっかかりになるものである。
この本は、東京工業大学で行われている「エンジニアリングデザインプロジェクト」(EDP)の教育内容をベースに、受講生たちの実際の体験を交えながら、担当教員たちが解説する、というところに特徴がある。
ME310のLoft, IDEOのOffice, d.schoolのStudio及びスタートアップのインキュベーション施設は、みんなが集まる「場」として作られている。EDPもその点を重視しているという。
アイスブレイクの重要性。用意すべき附箋紙やマーカーといった文房具。Slackでの情報共有。役割分担はしない方がいい。
デザイン思考は以下の5つのステップを踏むとして、それぞれのステップでのポイントや具体的な進め方や、注意すべきことが書かれている。
- 共感:インタビューや観察からユーザーの物語を見つけ、「ざわざわ感」を特定する
- 問題定義:ユーザ+ニーズ+インサイト=PoV(Point of View)
- 発想:どうすれば私たちは~できそうか?(HMWQ)。いいね!それから。。。
- プロトタイプ:学ぶためにモノを作る
- テスト:モノを見せる、物語を語る
全体的に、教科書的に体系的に書かれたものというよりは、デザイン思考の体験談に基づく生の声を大切にした内容となっている。陥りがちなワナについても書かれている。
単行本、304ページ、翔泳社、2017/12/15
エンジニアのためのデザイン思考入門 (エンジニアのための) [ 東京工業大学エンジニアリングデザインプロジェクト ]
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