著:木島 俊介
「マティスが没してから、色彩を真に理解しているのはシャガールだけになってしまった。ルノワールの後で、光に対する感覚を保持している画家はシャガールだけである」(パブロ・ピカソ)。
マルク・シャガール(1887-1985) を取り上げた美術解説本。薄めだが、オールカラー。多くの作品が紹介されている。25.6 x 18.2cmあるのでサイズとしても小さすぎない大きさになっている。印刷も悪くない。
「シャガールは天空に飛翔する幸せな恋人たちだけの画家ではない。彼の魂のなかには、ユダヤ人の悲劇の歴史が染めている部分もあるし、彼自身が実際に経験した災禍も数多くある。彼は決してその過去を忘れようとはしていない。というよりも、そのような過去への深い関わりが逆説的に、未来に向かって新しいものを絶え間なく探求させるのである」。
ロシアのユダヤ人居住地である故郷ヴィテブスクの思い出。ベラ・ローゼンフェルトとの出会いと愛情。パリ。キュービズムの画家達の出会い。ロシア革命や2つの世界大戦。ナチスのフランス侵攻による居住権剥奪とアメリカへの移住。ベラの死。南フランスでの晩年。独特の色彩と画風の陰に、幸せと愛だけでなく、様々な苦難の人生や同じ時代のユダヤ人の悲劇に心を痛めいたことが、その作品の特徴とともにコンパクトに解説されている。
単行本、80ページ、東京美術、2012/4/25
もっと知りたいシャガール 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション) [ 木島俊介 ]
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