編集:ICPロバート・キャパ・アーカイブ
歴史的な報道写真家であるロバート・キャパの写真を236点収録した文庫本である。世界的に名声を高めることになった「崩れ落ちる兵士」をはじめとするスペイン内戦。日中戦争。第2次世界大戦におけるヨーロッパ戦線。北アフリカ戦線。イタリア戦線。わずかなフィルムしか残らなかったが貴重な記録となったノルマンディー上陸作戦。パリ解放。終戦直後のヨーロッパ。第一次中東戦争。戦後の日本。インドシナ。
キャパの写真からは人間を強く感じる。名もない兵士や戦火の中で暮らす人々。戦争というものが、人間を抜きにして語れないものであること、その前線にいる人たちのこと、そのあおりを食らっている一般の人々が混然一体となって戦争の時代の中にいる。そういうことを、しっかりと感じる。
文庫サイズなので、写真が小さいのが残念だが、印刷は良い。最後に、ロバート・キャパ・アーカイブの学芸員の解説が付いている。
文庫、320ページ、岩波書店、2017/12/16