著:小川 洋子
この人の文章は、上手い。女流小説家が新聞に4年近くかけて連載したエッセイを一冊にまとめたもの。
連載をまとめたものだからだろうが、どれも4ページ程度の読みきりとなっている。少しほろっとさせたり、笑わせたり。最後に見事な落ちがあるものもある。やわらかで、上品かつ個性的な文体。そして、楽しく読ませる。
日常のちょっとしたエピソード、取材であったこと、本の話、子供のころの思い出、五輪のスケート、鳥、他のジャンルで活躍している同姓同名の人、他。愛犬と愛犬を散歩させる話も時々出てくる。あとがきでは、その愛犬及び散歩の習慣がその後どうなったか触れられている。やわらかい文体で、読ませるエッセイ集になっている。
文庫、255ページ、文藝春秋、2015/7/10