密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

著:ピーター・ティール、ブレイク・マスターズ、序文:瀧本 哲史、訳:関 美和

 

「起業は、君が確実にコントロールできる、何よりも大きな試みだ。起業家は人生の手綱を握るだけでなく、小さくても大切な世界の一部を支配することができる。それは、『偶然』という不公平な暴君を排除することから始まる。人生は宝クジじゃない」。


 いい本だった。イノベーションを生み出す起業のあり方について語った本。著者は、自らPaypalで起業し、フェイスブックなどの新興企業の見極めと投資で大成功した経験を持つ。起業に成功の方程式はないが、一定のパターンはあると述べられている。

 

 新しいテクノロジーは自然には生まれない。ただ、孤独な天才は優れた芸術作品を生み出すことはできても、新しい産業を丸ごと生み出すのは難しい。だから、そのためにはまず小さなチームで始めるのが良い。規模拡大の可能性を最初のデザインから組み込むべき。

 競争的なビジネスは利益が出ないし、カネしか考える余裕が無くなりがちになるから、差別化のないコモディティビジネスは避けた方がいい。ニッチの市場を創造し、今までにない新しい選択肢を消費者に与える。

1.小さい違いを追いかけるより、大胆に賭けた方がいい
2.出来の悪い計画でも、ないよりはいい
3.競争の激しい市場では、収益が喪失する
4.販売は、プロダクトと同じくらい大切だ

 CEOの給料が低ければそれがみんなの基準になってしまう。自社株という報酬形態で社員の意識を未来の価値に向けることができる。新しいものを作り出している限り、創業は続くと考える。役割をはっきりさせることで内部の対立を減らす。

 そもそも、売ろうとしなければ売れない。演技と同じで、売り込みだとわからないのが一流のセールス。

 人間と機械は異なる強みを持っており、テクノロジーは人を補うもの。エンジニアリング、タイミング、独占、人材、販売、永続性、隠れた真実。人生はポートフォリオじゃない。起業家は自分を分割できない。それが将来価値を持つかどうかを事前に検討し、自分の得意なことに集中すべき。

 

「企業は、人々が創業者を必要としていることを自覚しなければならない」

 

「創業者は、個人の栄光と賞賛はつねに屈辱や汚名と背中合わせであり、慎重さが求められることを自覚しなければならない。何よりも、自分の力を個人のものだと過信してはならない。偉大な創業者は、彼らの仕事に価値があるから重要なのではなく、社員みんなから最高の力を引き出せるから重要なのだ」。


 テクノロジーは奇跡を生む。新しいものを生み出すこと。より良い未来を作り出すこと。世界を創り直すこと。それを未来に残すこと。ゼロから1を作り出す。起業の本質を、しっかりと語りかけてくれる本だ。

 

単行本、256ページ、NHK出版、2014/9/25

 

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか

  • 作者: ピーター・ティール,ブレイク・マスターズ
  • 出版社/メーカー: NHK出版
  • 発売日: 2014/09/25
  • メディア: Kindle