著:羽生 結弦
フィギュァスケート男子で大きな注目を浴びはじめていた頃の若き天才スケーター羽生結弦の本。写真集+書籍という趣きだが、印刷がなかなかよく、単体写真集と比べてもあまり引けをとらない。
子供の頃にウルトラマンが好きで自分の演技の曲にリクエストしたこや、スケートの練習がつらくて「野球やりたい」と言ってみたこともあるというような、この道を歩んできた経緯。ジュニアを一足早く卒業してシニアに挑んだこと。また、高橋選手や織田選手と一緒に滑っていて四回転に磨きがかかったことや、チャン選手がスケートをずいぶん倒して滑っているのを見てそれをすぐ自分のものにしたあたりに、非凡な才能がうかがえる。
一方、まだずいぶん若いのに、世界のトップレベルを争っているというだけでなく、全日本ノービスで優勝した後に地元仙台のスケートリンクが一時閉鎖したり、東日本大震災の影響など、いろいろな障害を乗り越えてきたことがわかる。震災後は10月のシーズン開始まで60回のアイスショーをこなしながら各地を転々として練習を続けたという。世界の一流のライバルたちについての感想。自分の演技について。負けず嫌いの性格。世界選手権やオリンピック。いろいろな想いが、素直な言葉で綴られている。
単行本、167ページ、扶桑社、2012/4/7