密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

実践力を身につける Pythonの教科書

著:クジラ飛行机

 

 O’REILLTYの「入門 Python 3」とともに買いました。合計したら結構な出費になりましたが、結論としてはどちらも良い本で学習に役立ったので、いい買い物だったと思っています。
 
 初歩からやります。「>>> 10 + 20 * 30 /50」と入力したら「22.0」と返ってくる、というような電卓的なところから始まり、ひと通りの四則演算子、関数、変数、条件分岐、ループと、進んでいきます。ファイル操作や正規表現もあります。すべてサンプル付きで、プログラムコードの説明が行われています。

 黒と青の2色刷りなのですが、青インクの使い方が効果的で、ポイントが見やすくわかりやすく配慮されています。日本人が書いているので、翻訳もののような文章の読みにくさやくどさもありません。
 基礎的な内容とはいえ、ある程度の網羅性もあります。GUIアプリ、JSON、暗号化、クラスの作成、簡単なWebアプリの作成が出てきます。

 また、Pythonを始める人の中には、機械学習を目的にしている方がかなり多いと思いますが、本書には「機械学習に挑戦してみよう」というチャプターもあります。それが主たるテーマの本ではないので内容的には大きく2つだけなのですが、scikit-learnを利用したSVMによる手書き文字判定と、ワインのおいしさを判定してグラフでプロットするものがあり、雰囲気は味わえます。
 
 想定されているPythonは2.xではなく、3.x系です。Webサイトを検索するとまだ2.x系の情報もあるし書籍でも2.xのものが残っているのですが、これからやる人はやはり3.xの方がいいのではないかと思いますので、そういう点でも本書はいいと思います。両者の違いについては本書にもごく簡単に書かれています。それから、本書のサンプルはすべてWebサイトからダウンロードできるようになっています。指定されたURLから圧縮ファイルをひっぱってきて解凍するだけなので簡単です。ただし、個人的な意見としては、それほど長くないものは意味をかみしめながら自分でコードを入力してみる方が勉強になると思います。

 

 ちなみに、本書では機械学習部分で改めてAnacodaをインストールするようになっていますが、Windows版のAnacondaにはIpythonが含まれており、私はその64ビット版のAnaconda環境をインストしてあったので最初からそちらでやりました。それでも問題はないと思います。途中で出てくるpycryptoパッケージのインストもcondaで入れました。また、この本のWindows向けの画面はWin32版を使うようになっていますが、全部のプログラムをもれなく試したわけではないものの、Windowsの64ビット環境であればWin64版でやっても特に問題はさそうです。

 

単行本、320ページ、マイナビ出版、2016/10/26