著:本橋 信宏
「人間は、自分の話を真剣に聞いてくれる相手こそ、最良のパートナーだと思う習性があります」
「話し手にしてみれば、この男は本気で聞いてくれているようだ、と思い、話に身が入るものなのです」。
「バブル焼け跡派」を自任するライターの本。元赤軍派議長、政治家、官僚、や*ざなど、さまざまな人の取材をしてきた経験を持つ。特に、AV嬢インタビューは20年(合計640人)に及ぶという。ちなみに、「キャバクラ被害者の会」の副会長でもあるということで、これはAV嬢へのインタビューのときのネタに好評だとか。それに、彼女達の多くは心に傷を持ち壮絶な経験をしているので、きちんと真剣に接しないと心を開いてはくれない、という。しかし、実は著者は元々人と話すのがとても苦手だったらしい。
基本は人の話を真剣に聞くこと。L字型に座る。女性に対しては、笑いをとる、身につけている服やアクセサリーなど1つは話題に載せる。人はあまり言いたくないことは抽象的な表現を選ぶ傾向があるので、そういうときは固有名詞で語ってもらうにする。怒りを長時間持続させるのは困難なので、抗議に来た人にはまずどこまでも喋らせて、一息ついたところですかさず妥協点をさぐる。トップと話ができたときにはきちんとフォローもする、といったようなコツが披露されている。
また、本書に登場する数々の人々のインタビューの記録も大変興味深い。一度に10個の乳房を目の前にしながら話を聞く、なんてどんな感覚だろうか。
新書、220ページ、幻冬舎、2007/3/1