密林の図書室

日々読んでいる本の備忘録を兼ねた書評と内容の概要紹介及び読書感想をまとめたブックレビューのブログです。人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものと考え、このブログを立ち上げました。過去に別名でAmazonのレビュー欄に掲載したものとそちらには未掲載のものがあり、後者は「Amazonレビュー欄未掲載」タグをつけてあります。

深海の神秘。NHKが番組のために取材した内容を写真とともに伝える。「NHKスペシャル ディープ オーシャン 深海生物の世界」

編:NHKスペシャル「ディープ オーシャン」制作班

 

 NHKスペシャルの「ディープ・オーシャン」によって撮影された深海の不思議な生物を、取材の様子や同行した科学者たちのコメントとともにダイジェスト形式で紹介した本。オールカラーでムック本サイズ。写真中心の構成になっているので、ビジュアル的に見てすぐわかるというものになっており、引き付けられる。

 深海生物には目が巨大なものがいくつもいる。逆に目の機能がほとんど失われているものもある。体がぶよぶよなものでおおわれていたり、形も奇抜なものが多い。発光生物もたくさんいる。ドラゴンフィッシュやデメギニスの様子はかなり迫力がある。この辺はカラー印刷なので、苦労して撮影された写真によって様子がよくわかる。オオムガイのような古代からの生き残りの生物もいる。カニエット諸島沖で捕らえられたヒョウモンチャチブリはシーラカンス以上に珍しい深海魚だという。

 南極海の海底には巨大な生物がたくさんいる。南極の周りには海流があって独自の環境を保っている。南極海は表面が一番冷えていて深海の方が水温が高いということさえある。巨大な捕食生物がおらず、この中の生物は巨大化しやすいという。

 深海の魚ではTMAO(トリメチルアミン-N-オキシド)が水分子を強く引き付ける力をもっていて、水圧によってタンパク質が本来の機能を損なわずに生きられるようになっているのだという。

 ただ、水深8000メートルを超えるとTMAOがある魚でも水圧に耐えられない。世界最深部にもわずかにヨコエビやナマコなどがいるが、それらはシロイシトールという物質がタンパク質の間に割り込むことで水圧に耐えているのではないかという仮説があるそうだ。

 マリアナ海溝の冷湧水域ではチューブワームやシロウリガイがメタンや水素を栄養源として生きている。DNA解析によるとマリアナ海溝の深海生物の起源は南極からきているという。マリアナ海溝は1000万年前にできており地球の歴史の中では比較的新しい。南極で冷やされた海流が深く沈み込んでマリアナ海溝までたどり着く深層海流が運搬役を果たしたと考えられるそうだ。

 NHK取材班によるものであり、通常の深海生物の紹介本に比べてレアなものがいくつも登場する。もう少しボリュームがあってもいいかもと思ったが、その分値段は抑えられている。

 

単行本、127ページ、宝島社、2017/9/21

 

NHKスペシャル ディープ オーシャン 深海生物の世界

NHKスペシャル ディープ オーシャン 深海生物の世界