密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

ビジュアル版鑑賞ガイド 比べてもっとよくわかる仏像

著:熊田由美子

 

 タイトル通りの本。如来、菩薩、明王、天部、高僧・羅漢の5種類に分類してそれぞれ章を分け、代表的な仏像を多くのカラー写真とともに紹介し、歴史的な経緯や用語とともに解説が行われている。特に、写真については、例えば同じ弥勒如来同士、降三世明王同士の異なる仏像を並べて比較して鑑賞できるようになっているのが特徴となっている。

 それほどお高い本ではないのだが、オールカラー。写真が豊富で、印刷も紙質も良い。サイズは普通の単行本サイズで、ムック本や図鑑に比べると小ぶりだが、普通の高さの本棚に一般書籍として収納できるし、新書や文庫よりは大きいので写真は映える。写真と解説はちゃんと別のページで分けてあり、写真の周囲に文字がごちゃごちゃと並んでいるのではないので、解説は解説、仏像の写真の鑑賞は鑑賞と、それぞれに集中できる。

 文章は、きわめてスタンダードで、面白いかというとそういうものではないが、その分、偏りはなく、必要不可欠なことをもれなくきちんと整理して記述してあるという感じである。仏像の本はどうしても漢字が多くなる傾向があるが、ルビもこまめに印字してある。用語や語句の解説も適時まとめられている。

 仏像の比較写真以外に特別な個性があるというわけではないのだが、オールカラーで、写真が豊富で、200ページ以上で、解説もスタンダードに徹して整理されており、とりあえず一冊仏像の本を、という目的で手元に置いておくには最適で、よくまとまった一冊になっている。

 

単行本、216ページ、朝日新聞出版、2017/9/20

 

ビジュアル版鑑賞ガイド 比べてもっとよくわかる仏像

ビジュアル版鑑賞ガイド 比べてもっとよくわかる仏像