密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものと考えており、このブログを立ち上げました。日々読んできた本の備忘録を兼ねた書評と内容の概要紹介及び読書感想をまとめたブックレビューのブログです。過去に別名でAmazonのレビュー欄に掲載したものとそちらには未掲載のものがあり、後者は「Amazonレビュー欄未掲載」タグをつけてあります。

FinTech大全 今、世界で起きている金融革命

著:スザンヌ・キシュティ、著:ヤノシュ・バーベリス、監修:瀧 俊雄、翻訳:小林 啓倫、翻訳:映像翻訳アカデミー

 

 20ヵ国85人の専門家が分担しあって書かれたFinTechについての本の邦訳版。全部で500ページ以上あって、結構ぶ厚い。

 FinTechによって金融業界に何がおきているのか。FinTechにおけるテーマ別解説。ヨーロッパ各国や東南アジアや新興国の状況。コミュニティやFinTechハブ。予測アルゴリズム、BigData、コンプライアンス、契約最適化、高速テキスト分析、バイオメトリックス、クラウドファンディング、海外送金、中小企業支援、決済、ウェアラブルといったソリューションの解説。既存の銀行にとってカギを握るのはコラボレーション。保険とFinTech。eToroやAvokaやBankableの事例。CiTiグループの試み。暗号通貨とブロックチェーン。FinTechの今後、銀行Tech、APIエコノミー、FinTechと未来、FinTechと論理。このような内容となっている。

 日本語版の元になっている原著は2015年現在の情報に基づいて書かれてあるので、動きの早いFinTechの世界においては本書の内容は既に最新とはいえない。いや、もう古いといって差し支えない。Brixitも出てこない。また、多くの識者が分担しあって書いているので、全体のまとまりはそんなによくはない。しかも、分量がかなりあるので、読み通すのに結構時間がかかった。翻訳ものならではの読みにくさも多少ある。

 その一方で、英国やシンガポールのような既に有名な国だけでなく、オランダ、オーストリア、メキシコといったような国の状況も載っているのはよかった。何よりも、いろんな専門家が出てくるので、多彩な視点からの解説や見識に触れられた。

 ただし、日本及び日本人はほとんど出てこない(日本語版監訳者あとがきによると、マネーフォワードの瀧氏が寄稿を申し込んだときには既に原稿が締め切られていたという)。

 

 既に中身が古いし、分量もあるため、勧められる層は限られる。全体的には、FinTechの基礎知識がある人で、かつ、日本やアメリカや中国といったようなよく知られた国以外の状況がどうであったから軽く確認したいというニッチな用途であれば、ざっと目を通す価値があるかもしれない。

 

単行本、512ページ、日経BP社、2017/6/7

 

FinTech大全 今、世界で起きている金融革命

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