密林の図書室

日々読んでいる本の備忘録を兼ねた書評と内容の概要紹介及び読書感想をまとめたブックレビューのブログです。人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものと考え、このブログを立ち上げました。過去に別名でAmazonのレビュー欄に掲載したものとそちらには未掲載のものがあり、後者は「Amazonレビュー欄未掲載」タグをつけてあります。

ブロックチェーン 仕組みと理論 サンプルで学ぶFinTechのコア技術

著:赤羽喜治、愛敬真生

 

 ブロックチェーンの本。金融に精通した専門家がブロックチェーンの可能性と将来について語っているというものではなく、より具体的なレベルで技術や利用方法の研究をしている人たちが書いた本になっている。内容的にはすでに、ちょっと古くなっている。

 最初の部分は、ブロックチェーンに対する過剰な期待、特にビットコインによって送金などが安くなるという考えに対する注意で始まっている。そして、ただ単にコスト低減などという動機でこの技術の採用を検討するのではなく、「どのように業務やビジネスを変えれば新しい価値を最大化できるのか考えていくべきでしょう」と述べている。その上で、ブロックチェーン技術の簡単な解説、エストニア政府の取り組みやEverledgerによるダイヤモンド取引といったブロックチェーン技術の応用分野についてひと通り書かれている。また、ブロックチェーンの技術的な仕組みの解説は、第6章~10章にかけて60ページ弱を使って概要レベルのものが書かれている。コンセンサスアルゴリズム電子署名やハッシュの利用についてもここに含まれる。

 後半は、Bitcoin Core、Ethereum、Hyperledger Fabricの3つのブロックチェーンの具体的なセットアップ方法や簡単な使い方について書かれている。ここはコマンドレベルの解説であり、具体的で良い。最後はThe DAO Attack事件についても言及されている。ただ、例えばHyperledger FabricはV1.0でずいぶん変わったし、情報は既に古い。

 ものすごく詳しいというレベルではないが、概要と夢を語って終わりというような本でもない。基本的な内容中心ではあるが、手堅く具体性のある紹介本になっており、全体的には、そう悪くない一冊だと思う。ただ、この分野は進歩が激しく、すでに古くなりつつある。

 

単行本、256ページ、リックテレコム、2016/10/15

 

目次

1.基礎編
第1章 プロローグ
第2章 ブロックチェーンに至る流れ
第3章 ブロックチェーン技術とは?
第4章 ブロックチェーン技術の応用
第5章 ブロックチェーンの業界動向

2.理論編
第6章 ブロックチェーンの仕組み
第7章 P2Pネットワーク
第8章 コンセンサスアルゴリズム
第9章 電子署名とハッシュ
第10章 利用にあたっての課題

3.実践編
第11章 Bitcoin Core
第12章 Ethereum
第13章 Hyperledger Fabric
第14章 エピローグ

 

ブロックチェーン 仕組みと理論  サンプルで学ぶFinTechのコア技術

ブロックチェーン 仕組みと理論 サンプルで学ぶFinTechのコア技術