密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

九十歳。何がめでたい

著:佐藤愛子

 

 よく売れているようなので読んでみた。作家の佐藤愛子氏が隔週で雑誌に連載したエッセイを一冊にまとめたもの。字が大きく、行間も広く、すぐ読める。

 一言でいって、毒舌である。自身も認めているように、気が強い一面があることは、よく伝わってくる。ただ同時に、どこか自虐的で、ユーモアもある。その辺の絶妙なバランスが面白いといえば面白い。

 どうやら新聞の人生相談の欄が好きらしく、何度か出てくる。昔のネタとしては、犬やいたずら電話の話などがある。個人的には、特に泥棒詐欺にやられた時のことが印象に残った。こんなだまされ方して、しかも返品されてきたお金を突き返し、厳しいところがある反面、きっと、いい人なのだろう。歳をとり、耳が遠くなったり、いろいろ苦労していることも伝わってくる。

 

 ただ、大ベストセラーになった本と思って構えて読むと、肩透かしをくらうかもしれない。本書を読む限り、北海道に別荘があったりと、もともとお金に困っている感じはしないので、もしかしたらご本人も、九十歳を超えた不自由な体で今さら大ベストセラーになってたくさん印税が入っても。。。というのが案外、本音のような気もする。気軽に読めるエッセイである。

 

単行本、223ページ、小学館、2016/8/1

九十歳。何がめでたい

九十歳。何がめでたい