密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものと考えており、このブログを立ち上げました。日々読んできた本の備忘録を兼ねた書評と内容の概要紹介及び読書感想をまとめたブックレビューのブログです。過去に別名でAmazonのレビュー欄に掲載したものとそちらには未掲載のものがあり、後者は「Amazonレビュー欄未掲載」タグをつけてあります。

ウルトラセブン&地球防衛軍と宇宙人との貴重な戦訓をまとめた資料。「ウルトラセブン 宇宙人たちの地球侵略計画 彼らはどうして失敗したのか」

著:中村 宏治、著:一峰 大二、監修:円谷プロダクション

 

 ウルトラセブン全45回におけるそれぞれの宇宙人たちの地球侵略計画とその顛末を分析し、彼らの敗因はどこにあったのか、どのような教訓が導き出せ、どのようにすれば勝てたのか、について論じた本。また、彼らの貴重な敗戦を踏まえ、後に続く宇宙人たちはどのような計画を立てれば地球侵略に成功しそうなのかについても考察されている。

 

 クール星人、ワイアール星人、メトロン星人、ビラ星人、ギエロン星人、マゼラン星人、ガッツ星人など、ウルトラセブン地球防衛軍の前に現れた星人たちについて、ひとつずつ当時の侵略や激闘の様子を写した白黒写真付きで振り返っている。地球原人ノンマルトも出てくる。各回とも、「事件の発覚」「作戦概要」「星人の特性」「行動開始」「交戦」「顛末」「考察」「敗因」といった分類で、詳細な分析とレポーティングが行われている。また、それぞれ「作戦評価」のグラフによって、スコアリングがされており、点数がつけられている。

 

 さっさと片付けてしまえばよいものを、時間を置いてしまったために反撃を許した例。うまく地球人に化けていたつもりだったのに、頭部後ろの宇宙服の酸素ホースが抜けていたことで宇宙人であることを見破られた例。地球人を誘拐したつもりで、それがモロボシ・ダンだったためにウルトラセブンに変身されて計画が水泡に化した例。勝ち誇りながら秘密にしておくべきことをペラペラ喋って教えてしまったために、結局破綻してしまった例。今後、地球に侵略を計画する宇宙人が手にすれば、必ず役に立つに違いない貴重な戦訓が、きら星のごとく記述されている。

 

 また、モロボシ・ダンの特性として、意外に女に弱く、ウルトラ・アイを複数回女性に取られてしまっているという、地球人にしてみれば機密にして絶対に明かしてはならない重要な弱点についても暴露されている。

 

 最後のマンガについては、これだけの怪獣たちを一度に動員できる総合力を持った宇宙人はそれほどたくさんいるとは思えず、しかも、結果的にはそれが仇となっているので、地球侵略を考えている宇宙人向けには参考になりそうもない。また、全45回の分析についても、それぞれの最初の方は基本的にストーリをなぞっているだけのものなので、ウルトラセブンの番組のビデオを既に見たことのある研究熱心な宇宙人にとっては、いまさらの内容だろう。印刷も全て白黒で鮮明さに欠けるので、視力の良い宇宙人にとっては満足とはいいがたい。また、幻となっている第12話のスペル星人は、著者たちの最後の良心なのか、この本においても地球侵略を企てる宇宙人向けには伏せられたままとなっている。

 

 ただ、全体的には貴重な教訓がまとめられている本であり、今後、地球侵略を計画しようとする下心を持った宇宙人にとっては、一読の価値がある内容ではないかと想像できる。地球防衛軍は、Amazon楽天の配送センターに特殊部隊を常駐させ出荷先について厳密にチェックする体制を整え、本書が悪しき宇宙人の手に渡ることがないように全力を挙げて阻止して欲しい。

 

単行本、264ページ、マイナビ出版、2017/5/24