密林の図書室

日々読んでいる本の備忘録を兼ねた書評と内容の概要紹介のブックレビューのブログです。人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものと考え、このブログを立ち上げました。過去に別名でAmazonのレビュー欄に掲載したものとそちらには未掲載のものがあり、後者は「Amazonレビュー欄未掲載」タグをつけてあります。

アルツハイマー病は「脳の糖尿病」 2つの「国民病」を結ぶ驚きのメカニズム

著:鬼頭昭三、新郷明子

 

 アルツハイマー病は脳内でのインスリン抵抗性が主な原因であると説明し、糖尿病対策の健康法や治療法にはアルツハイマー病対策としても有効なものがあるし、特に予防法についてはアルツハイマー病も糖尿病も共通している、と説いている本。

 ロッテルダムスタディでは糖尿病はアルツハイマー病の発症リスクを2倍にするとされ、同様に糖尿病の人がアルツハイマー病にかかりやすいとされる調査結果が近年多く出ている。血圧と血糖値は低い方がよい。脳は壊れやすい臓器。脳は大量の糖を必要とするが、糖過剰の影響も受けやすい。脳はアルコールに対しても敏感で、ビールをグラス1杯飲むと5000個の脳の神経細胞死が起きる。女性は男性に比べて2.5倍アルツハイマー病になりやすく、閉経後のホルモン減少が関係しているといわれる。

 著者たちは、マウスでの研究などから、アルツハイマー病の根本的な原因は、脳の中でのインスリン情報の伝達障害であると断じている。一方、アルツハイマー病治療の薬の現状についても簡単に触れている。よく使われているドネペジルはアセチルコリン分解酵素の阻害薬であるので、アミロイドカスケード仮説に対処する薬ではないので限界がある。アミロイドカスケードの経路を遮断する薬の研究は副作用が強く難航しているし、ワクチン療法も効果が確認できる範囲は限定的なのだという。そこで著者たちは、経鼻インスリン吸入薬のような糖尿病向けの治療薬がアルツハイマー病にも有効であると唱えている。

 仮説レベルの話が多いが、日常の健康法として説かれていることは飲酒の危険性をやや強めに説明しているところが特徴的ではあるものの全体的には常識的なものであり、糖尿病対策の健康法がアルツハイマー予防にも効果があるなら一石二鳥であるので、いずれにせよ念頭に置いて試してみても損はない内容である。

 

目次

第1章 情報が伝わらないと病気になる
第2章 情報は脳をめぐり記憶となる
第3章 アルツハイマー病とはどんな病気か
第4章 糖尿病とはどのような病気か
第5章 インスリンからみたアルツハイマー
第6章 実験と臨床データによる検証
第7章 アルツハイマー病にならないためには
第8章 アルツハイマー病の根本的治療薬はあるか

 

新書、224ページ、講談社 、2017/7/19

アルツハイマー病は「脳の糖尿病」 2つの「国民病」を結ぶ驚きのメカニズム (ブルーバックス)

アルツハイマー病は「脳の糖尿病」 2つの「国民病」を結ぶ驚きのメカニズム (ブルーバックス)

  • 作者: 鬼頭昭三,新郷明子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2017/07/19
  • メディア: 新書