著:江部 康二
徹底して、糖質制限の重要性について説明している本である。著者は糖質制限に関して有名な医師である。
ポイントは、カロリー制限ではなく糖質制限が重要、ということになる。なぜなら、血糖値を上げるのは糖質のみだからだ。したがって、タンパク質はたくさんとっても構わないし、動物性脂肪に含まれる飽和脂肪酸も特に制限する必要はない。ただ、リノール酸とトランス脂肪酸については別の問題があるので摂りすぎに気をつけた方がいいとしている。
人工甘味料についてのリスクはいろいろいわれるが、比較すると人体への害という点では糖質の方が大きいので糖質の摂りすぎを控える目的で使うのはある程度は構わない。
また、現代では様々なものに糖質が含まれていることに注意する必要がある。糖質制限をしているつもりなのに痩せないというのは、無意識に糖質が含まれているものを食べている場合がある。甘くないでんぷん質のものには特に注意した方がいい。
著者の「高雄病院のスーパー糖質制限法」を、「山田悟先生のゆるい糖質制限」「釜池豊秋先生の糖質ゼロ食」と比較して星の数で示しているところは、自画自賛的な感じである。ただ、それだけ自信があるのだろう。釜池式が、「続けやすさ」という観点から星ゼロとなっていることについては、強く同意する。
終盤では、ケトン体について書かれている。ケトン体は脂肪酸ならびにアミノ酸の不完全代謝産物であるが、糖質制限すると脂質から代謝されるケトン体が増えるので、脂肪の燃焼効果があるという。食事メニューについてもいろいろ書かれている。参考になった。
新書、272ページ、SBクリエイティブ、2016/4/6
人類最強の「糖質制限」論 ケトン体を味方にして痩せる、健康になる (SB新書)
- 作者: 江部康二
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2016/04/06
- メディア: 新書