密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものと考えており、このブログを立ち上げました。日々読んできた本の備忘録を兼ねた書評と内容の概要紹介及び読書感想をまとめたブックレビューのブログです。過去に別名でAmazonのレビュー欄に掲載したものとそちらには未掲載のものがあり、後者は「Amazonレビュー欄未掲載」タグをつけてあります。

音楽

21世紀の研究成果の反映と充実した付録。「ドビュッシー (作曲家・人と作品シリーズ)」

著:松橋 麻利 いわゆる印象派の音楽家といわれるドビッシーについて紹介した本。著者は19世紀から20世紀前半のフランス音楽の専門家。 本書の特徴は2つある。まず、第一に、ドビッシー研究家で有名だった故フランソワ・ルシュールが2005年にまとめて出版し…

海外では無名。出身地のドイツでも知られていない。どうしてそれが日本で?「バイエルの謎: 日本文化になった教則本」

著:安田 寛 本書にあるように、1990年代に批判を浴びるようになってから人気はもうひとつになってきたものの、かつて日本で最初にピアノを習うときの教則本といえば「バイエル」だった。 本書は、この教則本を生み出したバイエルとは誰なのか、それが日本で…

「Jポップ」は死んだ (扶桑社新書)

著:鳥賀陽 弘道 1998年と2016年を比較すると、日本のCDをはじめとするオーディオレコードの売り上げは6075億円→1777億円に激減した一方で、コンサートの売上は710億円→3100億円に激増したという。2016年の優良音楽配信は528億円。 また、著作権料でみると、…

CDでわかる ベートーヴェン鍵盤の宇宙

著:仲道 郁代 「当時のピアノの復元楽器を使って、楽譜の指示通りにこの楽章を弾いてみると、和音の濁りが微妙に変化し、不思議な音響効果が生まれました。ベートーヴェンのペダルに関する奇妙な指示を難聴のせいにする人もいますが、逆に耳が聞こえにくい…

ザ・ビートルズ(The Beatles)の名盤はこうして生まれた!「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」の誕生秘話の数々と時代背景。「サージェント・ペパー50年」

著:マイク・マッキナニー、ビル・ディメイン、ジリアン・G・ガー、監修:藤本国彦、井上ジェイ、訳::間けい子 ザ・ビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」は、ライブ活動を休止したビートルズのメンバーが、レコード会…

CDでわかる ショパン鍵盤のミステリー

著・演奏:仲道 郁代 「せき込むような短調の旋律が、中間部で一瞬のうちにやわらかい長調に転調する、ショパンならではの匠の技です」。 「たった一音のちょっとした変化でふわっと色彩を変えてしまう。こんなところにもショパンの美意識を感じます。1拍に…

芸術の東大。芸術の卵たちを育てるゆりかご。「最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常」

著:二宮 敦人 ぱっとみて、「きっと面白いな、この本」と思ったが、実際は、その予想よりさらに面白かった本。国立の芸術大学である東京藝術大学(藝大)について、個性豊かな多くの在学生たちへの取材を重ねてまとめてある。 著者は小説家。学生結婚した奥…

クラシック音楽の中心にいる2大オーケストラ。「新編 ウィーン・フィル&ベルリン・フィル: 世界に君臨する二大オーケストラを徹底解剖」

編集:音楽の友 「カラヤンがベルリンとウィーンとで、全然違う指揮をしたので驚きました」(ウィーン・フィルコンサートマスター:ライナー・キュッヒル)。 「オーケストラにはそれぞれの伝統があるので、大切なのはそのオーケストラの高いレヴェルを保ち…

楽器博士 佐伯茂樹がガイドする オーケストラ 楽器の仕組みとルーツ (ONTOMO MOOK)

編:佐伯茂樹 「音楽の友」の楽器についての連載記事を一冊にしたムック本である。以下のようなことが書かれてある。 ティンパニーには、低音を左に置く「アメリカン・セットアップ」と低音を右に置く「ジャーマン・セットアップ」がある。演奏に違いはない…

はじめての『指環』―ワーグナー『ニーベルングの指環』聴破への早道 (オン・ブックス21)

著:山本 一太 リヒャルト・ワーグナーの「ラインの黄金」「ヴァルキューレ」「ジークフリート」「神々のたそがれ」。4作合わせて「ニーベルングの指環」と呼ばれる長大な4部作のオペラ作品について語った本。 最初に「ニーベルングの指環」の全体的な説明が…

武満徹 自らを語る

著:武満徹、安芸光男 作曲家の武満徹氏が60歳になる直前に行われたインタビュー。元々雑誌向けに行われた企画だが、そこには一部しか掲載されなかった。そしてその19年後にテープに録音された全編が遺族の許可を得てこのような形ではじめて紹介されることに…

新編 ヴァイオリン&ヴァイオリニスト (ONTOMO MOOK)

編集:音楽の友 数年おきに最新情報を更新して新編が出ているヴァイオリンとヴァイオリニストについての紹介本。ムック本サイズで表紙と裏表紙を除き全て白黒印刷である。 ただ、ヴァイオリンの本としては、それほど詳しいものではなく、前回のバージョンに…

深愛 (しんあい)

著:水樹奈々 面白かった。ドラマでもこういう筋書きはなかなか難しいだろう。歌手&声優として活躍する水樹奈々の自伝。こんなにいろいろ苦労して努力と下積みを重ねて成功の道を歩んだのか、と思った。豊かな声量と歌唱力が魅力的な歌姫だが、それは一流の…

Bボーイサラリーマン (幻冬舎文庫)

著:HIRO 「30歳になったら、死んでもいい。若い頃の俺は、本気でそう思っていた」。 インパクトのある書き出しで、最初から小気味よく読者をひきつける。面白い。EXILE HIROが半生を振り返って書いた本。まさに、駆け抜けてきた、という感じである。 若い頃…

ところで、きょう指揮したのは? 秋山和慶回想録

著:秋山和慶、冨沢佐一 理想とするのは、指揮者が目立たずオーケストラが素晴らしい演奏をすることだと言う。斎藤秀雄の愛弟子の一人、指揮者秋山和慶氏の回想録である。 この人のレパートリーは広く、800曲以上ある。しかも、そのほとんどを暗譜していると…

コンクールでお会いしましょう―名演に飽きた時代の原点

著:中村 紘子 ピアノコンクールについての話。著者は2016年にがんで亡くなった日本を代表するピアニスト。審査員としても、ショパン・コンクールやチャイコフスキー・コンクールをはじめとする国際的に有名な多くのコンクールに参加している。なんといって…

ウィーン・フィル コンサートマスターの楽屋から

著:ウェルナー・ヒンク、訳:小宮正安 2008年までウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とウィーン国立歌劇場管弦楽団のコンサートマスターを務めていたウェルナー・ヒンクに日本の研究家がインタビューした内容をまとめた本。 ウィーン・フィルもウィーン国…

シベリウス (作曲家 人と作品)

著:神部 智 「音楽は悲しみから生まれるのです」 (1957年9月24日に夫の遺志を継いだ妻のアイノにより新聞掲載されたシベリウスの死亡告知の言葉) シベリウスはベートーヴェンやバッハやショパンのようにクラシック音楽に関心のない人でも普通に知っている…

私のヴァイオリン 前橋汀子回想録

著:前橋 汀子 日本を代表するヴァイオリニスト前橋汀子の自伝。日本はヴァイオリンの分野では世界に優れた人材を多く輩出する国になったが、著者は2013年に亡くなった盟友の潮田益子とともに世界に飛び出して新しい時代を切り開く役割を果たしたといえる。…

ピアノの名曲 聴きどころ 弾きどころ

著:イリーナ・メジューエワ 「モーツァルトは(楽器を演奏する)手の感覚よりも歌を基本に考えていた人だと思います。大切なのは、声の美しさ、息、あるいは響き。キャラクターの心の動き、顔の表情。ジェスチャー。そっちのほうが大事なんですね。それをど…