密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

自然

オールカラー図解 日本列島の未来

著:中島淳一 日本は地震が非常に多い国である。近年は都市部に近いところでの大噴火は無いが、富士山の大噴火もいつ発生してもおかしくない。一般になじみはそれほどないかもしれないが、最後は約7,000年前に発生しているカルデラ噴火が再び発生した場合は…

毒があるのになぜ食べられるのか

著:船山 信次 主に食べ物に含まれる主に有機化合物の毒について紹介した本。天然のものが多いが、化学物質についても一部にある。 また、腐敗などによって生じるものや、病原菌、ウィルスについても解説している。科学的に実証されている薬との組み合わせに…

縮む世界でどう生き延びるか?

著:長谷川 英祐、イラスト;いずもり・よう 「生物は様々な要因により、あることを実現すると別のことを実現できないという関係(トレードオフ)に縛られており、その許す範囲でしか環境に適応できません。このような不自由さが、生息可能な空間は生物が適…

ユニークな動物写真の数々。「おかしな生きもの写真館」

編集:ポール・ジョインソン・ヒックス、トム・サラム Comedy Wildlife Photography Awardsという動物のユーモア写真コンテストの傑作選を集めた写真集。 速度制限の標識の前で立ち止るチータ。 獲物を捕らえるつもりで雪に頭ごと突っ込んでしまったキツネ。…

なぜか生きのこったへんな動物 (おもしろ動物世界地図)

著:今泉 忠明 「へん」だからこそ、生きのこることができました。たくさんの「へん」が地球を豊かにしているのです。 最近増えている、子供向けに興味を引くおもしろ動物を紹介した一冊。子供向けを想定して、絵を多用し、漢字にはルビをふってやさしく書か…

土 地球最後のナゾ 100億人を養う土壌を求めて

著:藤井 一至 アメリカ農務省の土壌分類(Soil Taxonomy)に基づき、地球上の土の特性について説明した本である。 この本の特徴としては、大きく2点ある。まず第一に、12種類のすべてにおいて、著者が代表的な場所に赴いて調査した結果と共に解説が行われてい…

日本の土: 地質学が明かす黒土と縄文文化

著:山野井 徹 日本の土の特徴について解説している、大変読みごたえのある本である。日本はプレート活動及び火山活動が活発な位置にあるため地質構造の変化が頻繁である。赤玉土や鹿沼土は火山灰。しかし、関東ローム層が火山灰というのは誤解で、クロボク…

雪の結晶は、似ているものはあっても、全く同じ形と大きさのものは2つと無い。「雪の結晶: 小さな神秘の世界」

著:ケン・リブレクト、訳:矢野 真千子 雪の結晶は、似ているものはあっても、全く同じ形と大きさのものは2つと無いという。実際、星形ひとつとっても、成長の分かれ道になるポイントは100くらいあるからその組み合わせは膨大な数になる。六角形、針形、矢…

その日は必ずやってくる。「南海トラフ地震 」

著:山岡 耕春 南海トラフでは過去に何度も巨大地震が繰り返されてきた。マグニチュード8~9クラス。今後30年以内の発生確率は約70%。それが、日本の人口と経済と産業がもっとも集中する地域を襲う。 揺れの被害大きいが、それだけではない。木造住宅の密集…

今まで地球上に登場した種の99.9%は既に絶滅している。「わけあって絶滅しました。 世界一おもしろい絶滅したいきもの図鑑 」

著:丸山貴史、監修:今泉忠明、イラスト:サトウマサノリ&、エタケヨーコ、海道健太 今まで地球上に登場した生物の種のうち99.9%が絶滅しているという。よく売れているようなので、読んでみた。カラフルでコミカルな感じのイラストと大きめの字で、子供で…

日本海 その深層で起こっていること (ブルーバックス)

著:蒲生 俊敬 日本海の広さは、世界の海域の広さの0.3%でしかない。いわばミニサイズの海である。 また、日本海は、それぞれ約10m、50m、130m、130mの水深しかない、間宮海峡、宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡の4つの海峡を通じて隣り合う海とつながって…

木を知る・木に学ぶ (ヤマケイ新書)

著:石井 誠治 木について、植物的な知識だけでなく、文化や歴史的な話を絡めて解説している本。著者は、樹木医や森林インストラクターをしているという。まじめに、淡々と書き綴られており、以下のような構成になっている。第1章 木を学ぶ第2章 木と人間…

選りすぐりの受賞作ばかり。『世界一の動物写真』

著:ロザムンド・キッドマン・コックス、編集:ナショナル ジオグラフィック、訳:尾澤 和幸 「ワールドライフフォトグラファー・オブ・ザ・イヤー」の50周年を記念して出版された本。邦題は「世界一の動物写真」となっているが、「ワイルドライフフォト」…

人類の友であり、敵であり、過酷な環境にもいて、幅広い共生関係とネットワークを張り巡らせている。『見えない巨人―微生物 』

著:別府 輝彦 「微生物の生態についての研究はいま新しい時代を迎えています。そこで重要になるのは、微生物がほとんどあらゆる生物との間にめぐらしている広い意味での共生関係と、集団としての微生物細胞間で働く遺伝子と化学信号を介するネットワークの…

地震、噴火、土砂崩れ、津波。災害に見舞われ続けてきた日本。「天災から日本史を読みなおす - 先人に学ぶ防災 」

著:磯田 道史 「300年前のこの古文書は我々に物語る。老人・子どもは災害時の低体温症にとくに弱いこと。年長者は責任ある言動をしなければならないこと。疲労困憊時には弱気になり判断が鈍ること。我々はこれらを自覚して、老いも若かきも、最後まで避難を…

危機を迎えるサンゴ。「サンゴ 知られざる世界」

著:山城秀之 サンゴについて解説した本。著者は、琉球大学熱帯生物圏研究センター瀬底研究施設の教授。カラー写真が豊富に掲載されていて、わかりやすく書かれている。 サンゴは刺胞動物の一種である。イソギンチャクやクラゲに近い。植物ではない。浅い海…

〈オールカラー版〉 魚はエロい

著:瓜生 知史 海中の生物の様々な生殖行動について紹介した本。タイトルも文章も、少しふざけているような軽い感じがする。しかし、そこにだまされてはいけない。表面的な書きぶりはともかく、本文で取り上げられている中には、かなり珍しい瞬間を観察した…

富士山大噴火が迫っている! ‾最新科学が明かす噴火シナリオと災害規模‾ (知りたい!サイエンス)

著:小山 真人 富士山は活火山である。そして、著者によると、今の富士山の状態は、寝ている人がちょうど「寝返りをうった状態」ということだ。 日本をよく知らない外国人であっても、Mt. Fuji はたいてい知っている。日本人にとっては桜と並んで日本を象徴…

死なないやつら

著:長沼 毅 極限状態に耐えられる生物や生命の進化の原理について紹介しながら、生命ついての見解をまとめた本。著者は、極限環境の生物学を専門とする大学の准教授。 不死身で有名なクマムシ。脱水し、水の代わりにトレハロースで体内を満たすことで、クリ…

祝イグノーベル賞受賞!「メスがペニスを持つ昆虫の研究」で世界を驚かせた画期的な研究成果。「昆虫の交尾は、味わい深い…。」

著:上村 佳孝 「メスがペニスを持つ昆虫の研究」の業績により、2017年の「イグノーベル賞」の共同受賞に輝いた学者が、昆虫の交尾研究について熱く語った本。著者が「イグノーベル賞」に選ばれたのはこの本が出版された後なので、それについては書かれてい…

めったに見られない瞬間!

著:ナショナル ジオグラフィック すごい。息をのむような写真が満載である。ナショナルジオグラフィックに掲載された中から選りすぐりのものを集めた写真集。一応、怪奇現象、生命の神秘、不思議な空間、奇妙なお宝、その一瞬、という5つの章に分類されて…

若き生物学者の未開のモーリタニアでの面白サバイバル体験と奮闘。「バッタを倒しにアフリカへ 」

著:前野ウルド浩太郎 よく売れているようなので、読んでみた。子供のころにファーブルにあこがれ、昆虫研究者を目指し、バッタが大発生すると農作物が壊滅的な被害を受けるモーリタニアへ渡った研究者の記録である。あくまでも新書なのでそれほど鮮明なもの…

深海の神秘。NHKが番組のために取材した内容を写真とともに伝える。「NHKスペシャル ディープ オーシャン 深海生物の世界」

編:NHKスペシャル「ディープ オーシャン」制作班 NHKスペシャルの「ディープ・オーシャン」によって撮影された深海の不思議な生物を、取材の様子や同行した科学者たちのコメントとともにダイジェスト形式で紹介した本。オールカラーでムック本サイズ。写真…

図説 植物の不思議 ミクロの博物学

電子顕微鏡の色付け写真を残した西永奨氏が遺したものの中からセレクトしてまとめられた写真集のレビューです。

森の探偵―無人カメラがとらえた日本の自然

自作の無人カメラを駆使して自然と向かい合ってきたカメラマンが、動物と自然、そして人間社会について語っている本のレビューです。