密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

美術

SNS時代のフォトグラファーガイドブック

著:XICO、黒田明臣、もろんのん、ENO 、haru wagnus、高橋伸哉、宮瀬浩一、別所隆弘 かつて写真は、フィルム撮影して、現像して、印画紙に焼くことだった。知識や技術の専有性は今よりも高かった。プロ写真家の中には徒弟制度で育っていく人も少なくなかっ…

もっと知りたい村山槐多 (アート・ビギナーズ・コレクション)

著:村松 和明 若くして亡くなった天才画家、村山槐多(1896-1919)の生涯を作品とともに紹介した本。ムック本サイズで、オールカラー印刷。100ページに満たないが、多くの作品が載っている。また、槐多が残した日記と詩文も適時引用されている。 また、この本…

もっと知りたい葛飾北斎 改訂版

監修:永田 生慈 「北斎は、立ち止まることを知らない絵師だった。ひとつのことに熱中し、あるレベルに達すると、すぐ新たなジャンルに挑戦する。常に探究心を持ち続け、自己の絵画世界を追求していったその姿こそ、北斎最大の魅力なのである」。 葛飾北斎(17…

フェルメールの生涯解説などは姉妹編の方に書いてあるのでそちらを参照してもらうという前提の『フェルメール作品集』

著:小林 頼子 本書の冒頭でも触れられているように、フェルメールは今や日本でもっとも人気のある西洋画家の一人になっている。本書では、真作として32作品を、すべて見開きで見右ページに作品のカラー印刷、左ページに簡単な解説文という形で紹介してある…

森山大道『にっぽん劇場写真帖』

著:森山大道 1968年に発刊された森山大道の写真集『にっぽん劇場写真帖』が改めて出版された。重厚な大型本で、印刷も良く、巻末にはひとつひとつの作品についてのデータや初出一覧も掲載されており、丁寧に仕上げられている。当然、森山大道の言葉もあるし…

ジャポニズムとは何か。実際はどうだったのか。『ジャポニスム 流行としての「日本」』

著:宮崎 克己 19世紀中盤以降、日本の文化や工芸品がヨーロッパで注目を浴びた。この一連の日本趣味のことを、「ジャポニズム」と呼ぶ。今に残るものとしては、マネ、モネ、ゴッホ、といった印象派の画家たちの作品群や足跡に、その影響をはっきり認めるこ…

もっと知りたい刀剣: 名刀・刀装具・刀剣書

著:内藤 直子、吉原 弘道 日本刀の名品を紹介しながら、その特徴と歩みを独自の視点で語った本。薄いムック本であるが、オールカラーで写真中心の構成である。刀剣そのものだけでなく、拵(こしらえ)についても紹介している。刀剣の姿は時代によって異なる…

ボナール展の予習復習用にも最適。ピエール・ボナールの魅力と生涯。「もっと知りたいボナール 生涯と作品 」

著:高橋 明也、島本 英明 フランスの画家ピエール・ボナール(Pierre Bonnard,1867-1947)の作品をその生涯とともに紹介した本である。 ボナールは、ポスト印象派とモダンアートの間に位置するナビ派と呼ばれるグループの中心的な芸術家であり、日本美術が…

藤田嗣治作品集

著:清水 敏男 独特の乳白色の作品などで絵画の歴史に名を遺した藤田嗣治(1886-1968)の作品をその生涯とともに紹介した画集。 東京美術学校を卒業し、1913年にパリへ渡る。1921年にサロン・ドートンヌで発表した「裸婦」「自画像」「私の部屋」の3作が高い…

クリムトに関して日本で出版された本の中では今のところこれがベストと思われる、おススメの一冊。「グスタフ・クリムトの世界-女たちの黄金迷宮-」

著:海野 弘 2013年に出版された大型本の「クリムト作品集 」も画集としてはとても良かったが、解説等も含めると、グスタフ・クリムト(Gustav Klimt,1862-1918)について今まで日本で出版された中では、この本が最高のものだろう。手に取って、開いて、すぐに…

クリムト作品集

著:千足 伸行 グルタフ・クリムト(1862-1918)の作品集。美術展の画集に等しいサイズで、ページ数もそれなりにあり、印刷は大変良好。もちろん、オールカラー。 世界中の美術館や個人が収蔵しているものから集められていて、初期のものから、「ユーディッ…

絵画修復から見える画伯たちの技と名画の興味深いエピソードの数々。「修復家だけが知る名画の真実 」

著:吉村 絵美留 結構前の本だが、面白そうだと思って買った。実際、とても面白かった。著者は国内外の多くの画家の作品の修復を仕事としており、豊富な経験とエピソードに基づいて、絵画修復という仕事を紹介すると同時に、一般の絵画鑑賞ではわかりにくい…

オールカラーで、アントニ・ガウディの作品がたくさん紹介されている。「もっと知りたいガウディ―生涯と作品 」

著:入江 正之 「建築は安定性のみではない。安定性は建築の一部であって全体ではない。建築は芸術である。力学は骨格であり、骨組みである。しかし骨組みには、それに調和を与える肉が欠けている。あるいはそれを包む形態が欠けている。調和を持つなら、芸…

愛の言葉 箱根ガラスの森美術館のひみつ

著:岩田 正崔 年間50万人が訪れ、そのうち50%がリピーターだという。箱根ガラスの森美術館について館長自らが語った本。 おおむね半分が写真のページとなっており、ヴェネチアングラスの逸品、館内の様子、見事な庭園、レストラン、14万5000粒のクリスタル…

もっと知りたい歌川広重―生涯と作品

著:内藤 正人 歌川広重(1797-1859)の代表作と特徴をその生涯とともに解説した本。80ページしかないが、オールカラーで印刷良好。ムック本サイズ。 三十俵二人扶持という微禄ながら幕府の御家人の長男として生まれる。数え13歳で両親を相次いで失って安藤…

やさしい配色の教科書[改訂版]

著:柘植 ヒロポン 配色の本。2018年の改訂版である。色の世界は、三属性と呼ぶ以下の3つの要素の組み合わせで成り立っているという。 ・色味の違い(色相) ・色の明るさ(明度) ・色の鮮やかさ(彩度) 色相は基準となる色(キーカラー)を中心に、類似色…

もっと知りたい狩野永徳と京狩野

著:成澤 勝嗣 狩野派は京都で始まったが、探幽(1602-1674)をはじめとする中枢は徳川幕府直属の家臣に取り立てられて江戸へ行き、探幽の瀟洒な作風を母体とする江戸狩野が誕生する。そして江戸狩野の一部は京都にも住んで御所の仕事を引き受ける。こちらが有…

学びたいレンズテクニックへのこだわり。サンプル豊富。『イラストでよくわかる 写真家65人のレンズテクニック』

著:魚住 誠一、GOTO AKI、小林 紀晴、鈴木 知子、鶴巻 育子、常盤 響、中井 精也、中野 耕志、沼澤 茂美、ハービー・山口、HABU、丸田 あつし、山崎 友也、吉村 和敏、米 美知子 「デジタルカメラマガジン」の別冊です。タイトルにあるように、レンズのテク…

現代美術コレクター (講談社現代新書)

著:高橋 龍太郎 日本の現代美術の魅力について語った本。著者は精神科医で、バブル崩壊後の日本であまりアートの買い手が盛り上がらなかった時期に現代アートに魅せられてコツコツ買い集めてきたというコレクター。 美術品のマーケットやコレクターについて…

芸術の東大。芸術の卵たちを育てるゆりかご。「最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常」

著:二宮 敦人 ぱっとみて、「きっと面白いな、この本」と思ったが、実際は、その予想よりさらに面白かった本。国立の芸術大学である東京藝術大学(藝大)について、個性豊かな多くの在学生たちへの取材を重ねてまとめてある。 著者は小説家。学生結婚した奥…

「カバー、おかけしますか? 2」 本屋さんのブックカバー集

編集:中西晴代 全国の本屋さんのブックカバーの写真を集めた本。横長のサイズで、オールカラー。画質は良好。書皮大賞というのがあるそうで、その大賞作品、地方賞作品、特別賞作品が紹介されている。また、本屋さんのカバー展の作品も載っている。さらに、…

世界屈指の日本庭園と秀逸な所蔵作品。一度は足を運びたい。「足立美術館: 四季の庭園美と近代日本画コレクション」

監修:足立美術館 足立美術館の庭と収蔵作品を紹介した本。オールカラー。米国の日本庭園専門誌で10年連続日本一の庭園に選ばれている見事な日本庭園の四季折々の姿や、120点を誇る横山大観をはじめ、竹内栖鳳、川合玉堂、上村松園、橋本関雪などの絵画や、…

マツダをデザインが変えた!世界を感動させるMAZDA車のフォルムを生み出したチーム。「デザインが日本を変える 日本人の美意識を取り戻す」

著:前田育男 「信じるのはただ作品の力である。ただひたすら美しく、圧倒的で、目にした瞬間にその他大勢の製品がすべて色あせて見えるような傑作を作りたいと願っている私は、確かにとびきりのロマンチストであるのだろう」。 マツダのデザイン部門をひっ…

写真が豊富でオールカラー。解説もわかりやすくて丁寧な標準的な焼きものガイド。「すぐわかる産地別やきものの見わけ方」

(監修:佐々木 秀憲) やきものについての解説書。陶磁器の名品の写真が豊富に掲載されている。全てではないもののその多くがカラーページになっていて印刷も良いため、作品が映えている。また、産地別の解説がわかりやすい。文章と写真と図示によって各地…

日本の伝統色を愉しむ ―季節の彩りを暮らしに―

監修:長澤陽子、イラスト:エヴァーソン朋子 桜色(さくらいろ)、水色(みずいろ)、紅藤色(べにふじいろ)、菖蒲色(あやめいろ)、鶯色(うぐいすいろ)、東雲色(しののめいろ)、茜色(あかねいろ)、朱鷺色(ときいろ)、夏虫色(なつむしいろ)、今…

ミッフィちゃんの産みの親。オールカラーで写真や作品を多数紹介。「ディック・ブルーナのすべて 改訂版」

編集:講談社 「僕は子供たちにわかってほしいと思って描いてはいません。小さいころ欲しかったものを作っているだけです。人生の初期、特に幼いころというのは、幸せで、あたたかさに包まれて、健康的でなくてはいけません。そんな環境に育つことが力強い人…

もっと知りたいエル・グレコ―生涯と作品

著:大高 保二郎、松原 典子 「おそらくエル・グレコの絵画は当時のトレードにおいては、『アバン・ギャルド(前衛)』であったに違いない」。 エル・グレコ(1541-1614)の作品の特徴と一生について解説した本。オールカラー。薄いが、数多くの作品が掲載さ…

西洋絵画を楽しむなら知っておきたい。ビジュアル解説でわかりやすい、「鑑賞のためのキリスト教美術事典」

著:早坂 優子 西洋絵画はキリスト教の題材に基づいて描かれているものが多くある。つまり、画家の意図を正確に理解するには、絵画技法の知識だけでなく、キリスト教に関する知識が欠かせない。本書は、そのような視点からまとめられた本である。 絵画作品に…

マンガでわかる「日本絵画」の見かた: 美術展がもっと愉しくなる!

著:唐木 みゆ、監修:矢島 新 日本画の見方について解説した本。「マンガでわかる」とあるように、要所の説明において文章だけでなくマンガが用いられている。一般向けにやさしく書かれており、特に前提知識は必要ない。また、一般紙であって印刷も画集に比…

カラー版 - 横山大観 - 近代と対峙した日本画の巨人

著:古田 亮 近代日本画の巨匠、横山大観について書かれた本。新書サイズで数にも限りはあるものの、文章だけでなく、カラー印刷でいくつかの代表作の写真が紹介されている。 東京美術学校の第1期生であり、岡倉天と苦労をともにしながら師とあおぎ、強烈な…