密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものと考えており、このブログを立ち上げました。日々読んできた本の備忘録を兼ねた書評と内容の概要紹介及び読書感想をまとめたブックレビューのブログです。過去に別名でAmazonのレビュー欄に掲載したものとそちらには未掲載のものがあり、後者は「Amazonレビュー欄未掲載」タグをつけてあります。

科学

宇宙はどのような構造をしているのか。「図解 宇宙のかたち 『大規模構造』を読む 」

著:松原隆彦 宇宙の構造を説明した本。とてつもなく大きなテーマであるが、多くの研究成果や理論が紹介しながら、きわめて明快かつシンプルに書かれていることが特徴である。無駄な記述は避け、重要なポイントはここ、という感じの解説を重ねているため、宇…

宇宙は無から始まった。「宇宙が始まる前には何があったのか? 」

著:ローレンス クラウス、訳:青木 薫 「なぜ何もないのではなく、何かが存在するのだろうか?」ということに対する答えのひとつは、「存在するとはいっても、長くはない」ということになるのだという。 我々が住んでいるこの宇宙はかつて無(時間や空間も…

科学の迷信や、歴史に残るねつ造事件。日本の石器発掘事件も。「科学の迷信 世界をまどわせた思い込みの真相 」

編集:ナショナル ジオグラフィック 科学の迷信や、歴史に残るねつ造事件を100件取り上げて紹介した本。ナショナルグラフィックスらしく、写真が多く掲載されている。100件の中には、日本の旧石器発掘ねつ造事件も取り上げられている。 ジャンル別に、「物理…

体と病気の科学知識 (ニュートン別冊)

科学雑誌Newtonの別冊。タイトル通り、人間の体と病気について、過去のNewtonに掲載された記事をまとめた内容になっている。 大腸の悪玉菌はタンパク質を食料にするというのは知らなかった。腰痛の多くは実は原因不明。歯周病菌は、心筋梗塞、脳梗塞、動脈硬…

土 地球最後のナゾ 100億人を養う土壌を求めて

著:藤井 一至 アメリカ農務省の土壌分類(Soil Taxonomy)に基づき、地球上の土の特性について説明した本である。 この本の特徴としては、大きく2点ある。まず第一に、12種類のすべてにおいて、著者が代表的な場所に赴いて調査した結果と共に開設が行われてい…

日本の土: 地質学が明かす黒土と縄文文化

著:山野井 徹 日本の土の特徴について解説している、大変読みごたえのある本である。日本はプレート活動及び火山活動が活発な位置にあるため地質構造の変化が頻繁である。赤玉土や鹿沼土は火山灰。しかし、関東ローム層が火山灰というのは誤解で、クロボク…

つながる脳科学 「心のしくみ」に迫る脳研究の最前線

編集:理化学研究所 脳科学総合研究センター 「本というのは一人で書くのに越したことはないのですが、脳研究の最前線を隅々までわかっている人はいないのです。…(中略)…一人の研究者がすべての最先端の脳研究について熟知することは、ほとんど不可能なほど…

科学の困ったウラ事情 (岩波科学ライブラリー)

著:有田 正規 科学研究分野の問題点と著者の考える方策を書いた本。雑誌の連載を一冊にまとめたもの。著者は生命情報科学を専門とする理学博士。主に生命科学の分野をテーマにした本だが、嘆きを交えた半分エッセイのような感じで書かれており、特に前提知…

雪の結晶は、似ているものはあっても、全く同じ形と大きさのものは2つと無い。「雪の結晶: 小さな神秘の世界」

著:ケン・リブレクト、訳:矢野 真千子 雪の結晶は、似ているものはあっても、全く同じ形と大きさのものは2つと無いという。実際、星形ひとつとっても、成長の分かれ道になるポイントは100くらいあるからその組み合わせは膨大な数になる。六角形、針形、矢…

無限 (岩波科学ライブラリー)

著:イアン・スチュアート、訳:川辺 治之 無限について、昔の哲学的な主張も紹介しながら、エッセイ風に紹介した本。著者はイギリスの学者。最初に、無限に関する以下の9つの課題が載っている。 ・最大の数:∞=∞+1の両辺から∞を引くと、0=1? ・正方…

今さら聞けない科学の常識―うろおぼえを解消する102項目 (ブルーバックス)

編集:朝日新聞科学グループ 102の常識を、「身体・生命」「食品・栄養」「身のまわり」「地球・気象」「資源・素材」「宇宙」「生物」「IT」の7つの章に分けて掲載。元々一般新聞用に書かれていて、図や写真も豊富で、文章も大変わかりやすく書かれてい…

日本海 その深層で起こっていること (ブルーバックス)

著:蒲生 俊敬 日本海の広さは、世界の海域の広さの0.3%でしかない。いわばミニサイズの海である。 また、日本海は、それぞれ約10m、50m、130m、130mの水深しかない、間宮海峡、宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡の4つの海峡を通じて隣り合う海とつながって…

相対性理論 (岩波文庫)

著:A. アインシュタイン、訳:内山 龍雄 「この論文は物理学の論文の模範として、それを志す者は必ず一読すべきものであると思う。これは科学論文として最高の傑作であり、その論旨の展開の美しさは芸術作品と称えても、決して過言ではない」(訳者による「…

三つの石で地球がわかる 岩石がひもとくこの星のなりたち (ブルーバックス)

著:藤岡 換太郎 なかなか面白い本だった。少なくとも、かつて教科書等でいろいろな岩や石の種類をみてクラクラしてあまり興味を持てなくなった経験がある人は、これを読むといくらかすっきりした気持ちになれるかもしれない。岩石は様々な種類に分類される…

「超常現象」を本気で科学する (新潮新書)

著:石川 幹人 著者は幽霊の研究をしているが、幽霊は信じていないという。「宗教が『信じる』ことから出発するとすれば、科学は『信じずに距離を置く』ことから出発するという原則」があるからだという。このように、頭ごなしにうさんくさい研究にみられが…

実は危機に瀕している、おっぱいの知られざる真実。『おっぱいの科学』

著:フローレンス ウィリアムズ、訳:梶山 あゆみ おっぱいは、危機に瀕している。母乳には化学物質が濃縮され、乳がんはアメリカ人女性の死亡率第1位で、初潮年齢が早まったのに出産年齢は逆に高齢化したことが年齢に応じたホルモンのバランスを崩し、一時…

長さ、質量、時間、電流、熱力学温度、物理量、光度。『新しい1キログラムの測り方 科学が進めば単位が変わる』

(著:臼田 孝) 1mの長さを正確に伝えるため、長く国際メートル原器が長さの基準になっていた。しかし、1983年から、光が真空中を伝わる行程を基準にするようになった。このように、精度を少しでも高めるため、科学の進歩によって単位の基準が変わってきた…

人類の友であり、敵であり、過酷な環境にもいて、幅広い共生関係とネットワークを張り巡らせている。『見えない巨人―微生物 』

著:別府 輝彦 「微生物の生態についての研究はいま新しい時代を迎えています。そこで重要になるのは、微生物がほとんどあらゆる生物との間にめぐらしている広い意味での共生関係と、集団としての微生物細胞間で働く遺伝子と化学信号を介するネットワークの…

科学が歴史上もっとも本気で幽霊に迫った瞬間。「幽霊を捕まえようとした科学者たち」

著:デボラ ブラム、訳:鈴木 恵 科学技術が大発展を遂げた19世紀後半、心霊現象も科学の力で解明しようとする機運が生まれた。まずイギリスで心霊研究会(SPR)が、次いでアメリカ心霊研究協会(ASPR)が設立される。「テレパシー」や「エクトプラズム」といっ…

Newton別冊『最新iPS細胞』 (ニュートン別冊) (ノーベル医学生理学賞受賞の山中伸弥氏のインタビュー付き)

山中伸弥教授がiPS細胞の作製を発表したのが2006年。2018年にはそれから12年が経過した。本書は、科学雑誌Newtonに掲載されたこの12年間のiPS細胞関連の解説記事や山中氏をはじめとする著名な研究者たちのインタビューによって構成されたものである。ES細胞…

Newton(ニュートン) 2018年 08 月号 ~自動運転・猫の秘密・ハヤブサ2号・エピゲノム編集~

科学雑誌Newtonの2018年8月号。人工知能と自動運転の特集だったので、手に取った。自動運転にはレベル0からレベル5までの段階があること。人工知能によって人やモノを見分けることがクルマの自動運転実現に役立つことが期待されること。ドライバーの状態も…

〈オールカラー版〉 魚はエロい

著:瓜生 知史 海中の生物の様々な生殖行動について紹介した本。タイトルも文章も、少しふざけているような軽い感じがする。しかし、そこにだまされてはいけない。表面的な書きぶりはともかく、本文で取り上げられている中には、かなり珍しい瞬間を観察した…

マンガ ホーキング入門―天才物理学者の人生とその宇宙論

著:ヨセフ・マッケヴォイ、イラスト:スカー・サラーティ (イラスト)、訳:杉山 直 ホーキングの歩みを知るという点に限れば、興味深く読めました。ホーキングを中心に他にもいろんな科学者が登場するし、読みやすい。そもそも簡単なテーマではないので、う…

富士山大噴火が迫っている! ‾最新科学が明かす噴火シナリオと災害規模‾ (知りたい!サイエンス)

著:小山 真人 富士山は活火山である。そして、著者によると、今の富士山の状態は、寝ている人がちょうど「寝返りをうった状態」ということだ。 日本をよく知らない外国人であっても、Mt. Fuji はたいてい知っている。日本人にとっては桜と並んで日本を象徴…

「流れる臓器」血液の科学―血球たちの姿と働き

著:中竹 俊彦 「私は、マスコミが広めた『血液サラサラ』『血液ドロドロ』は、医学や科学科学の立場からはふさわしくないと考えます。『血液型性格診断』など論外のことです」。血液の成分、働き、赤血球や白血球などの役割、仕組みの概要についてわかりや…

なぜ蚊は人を襲うのか (岩波科学ライブラリー)

著:嘉糠 洋陸 マラリア、フィラリア症、デング熱、日本脳炎、西ナイル熱、ジカ熱。蚊にさされることはかゆくなるというだけでなく、人類に病気をもたらしてきた。蚊の研究は、この点において、単に生き物の生態を調べるという以上の意義を持つ。 蚊は、双翅…

ホーキング、宇宙と人間を語る

著:スティーヴン ホーキング、レナード ムロディナウ、訳:佐藤 勝彦 「M理論はアインシュタインが夢見ていた統一理論です。単なる素粒子の集まりである私たち人間が、私たちと宇宙を支配する法則の理解にここまで近づいていることは偉大な勝利です」。 ホ…

ホーキング、自らを語る

著:スティーヴン・ホーキング、監修:佐藤 勝彦、訳:池 央耿 「二十一歳で筋萎縮性側索硬化症が発症したときには、ひどく不公平に思った。どうしてこんな目に遭わなくてはならないのだろうか。人生、もはやこれまでで、多少は自負していた能力もついに発揮…

排泄物と文明: フンコロガシから有機農業、香水の発明、パンデミックまで

著:デイビッド ウォルトナー=テーブズ、訳:片岡 夏実 著者の計算によると、2010年に全世界ですべてのウシ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリが排出した畜糞の量は141億3645万トンになるという。これは353億4112万5000立法メートルに相当し、標準的なサッカー場(幅60…

日本の伝統 発酵の科学 微生物が生み出す「旨さ」の秘密 (ブルーバックス)

著:中島 春紫 「発酵と腐敗を区別するのは科学ではなく、文化である」(小泉武夫)という。食品を保存し、うまみを引き出し、消化吸収と栄養価を向上させる。発酵という言葉の定義はあいまいで、細菌による発酵をともなわない紅茶の発酵も発酵とされるが、…