密林の図書室

日々読んでいる本の備忘録を兼ねた書評と内容の概要紹介及び読書感想をまとめたブックレビューのブログです。人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものと考え、このブログを立ち上げました。過去に別名でAmazonのレビュー欄に掲載したものとそちらには未掲載のものがあり、後者は「Amazonレビュー欄未掲載」タグをつけてあります。

科学

三つの石で地球がわかる 岩石がひもとくこの星のなりたち (ブルーバックス)

著:藤岡 換太郎 なかなか面白い本だった。少なくとも、かつて教科書等でいろいろな岩や石の種類をみてクラクラしてあまり興味を持てなくなった経験がある人は、これを読むといくらかすっきりした気持ちになれるかもしれない。岩石は様々な種類に分類される…

「超常現象」を本気で科学する (新潮新書)

著:石川 幹人 著者は幽霊の研究をしているが、幽霊は信じていないという。「宗教が『信じる』ことから出発するとすれば、科学は『信じずに距離を置く』ことから出発するという原則」があるからだという。このように、頭ごなしにうさんくさい研究にみられが…

実は危機に瀕している、おっぱいの知られざる真実。『おっぱいの科学』

著:フローレンス ウィリアムズ、訳:梶山 あゆみ おっぱいは、危機に瀕している。母乳には化学物質が濃縮され、乳がんはアメリカ人女性の死亡率第1位で、初潮年齢が早まったのに出産年齢は逆に高齢化したことが年齢に応じたホルモンのバランスを崩し、一時…

長さ、質量、時間、電流、熱力学温度、物理量、光度。『新しい1キログラムの測り方 科学が進めば単位が変わる』

(著:臼田 孝) 1mの長さを正確に伝えるため、長く国際メートル原器が長さの基準になっていた。しかし、1983年から、光が真空中を伝わる行程を基準にするようになった。このように、精度を少しでも高めるため、科学の進歩によって単位の基準が変わってきた…

人類の友であり、敵であり、過酷な環境にもいて、幅広い共生関係とネットワークを張り巡らせている。『見えない巨人―微生物 』

著:別府 輝彦 「微生物の生態についての研究はいま新しい時代を迎えています。そこで重要になるのは、微生物がほとんどあらゆる生物との間にめぐらしている広い意味での共生関係と、集団としての微生物細胞間で働く遺伝子と化学信号を介するネットワークの…

科学が歴史上もっとも本気で幽霊に迫った瞬間。「幽霊を捕まえようとした科学者たち」

著:デボラ ブラム、訳:鈴木 恵 科学技術が大発展を遂げた19世紀後半、心霊現象も科学の力で解明しようとする機運が生まれた。まずイギリスで心霊研究会(SPR)が、次いでアメリカ心霊研究協会(ASPR)が設立される。「テレパシー」や「エクトプラズム」といっ…

Newton別冊『最新iPS細胞』 (ニュートン別冊) (ノーベル医学生理学賞受賞の山中伸弥氏のインタビュー付き)

山中伸弥教授がiPS細胞の作製を発表したのが2006年。2018年にはそれから12年が経過した。本書は、科学雑誌Newtonに掲載されたこの12年間のiPS細胞関連の解説記事や山中氏をはじめとする著名な研究者たちのインタビューによって構成されたものである。ES細胞…

Newton(ニュートン) 2018年 08 月号 ~自動運転・猫の秘密・ハヤブサ2号・エピゲノム編集~

科学雑誌Newtonの2018年8月号。人工知能と自動運転の特集だったので、手に取った。自動運転にはレベル0からレベル5までの段階があること。人工知能によって人やモノを見分けることがクルマの自動運転実現に役立つことが期待されること。ドライバーの状態も…

サンプリングって何だろう――統計を使って全体を知る方法 (岩波科学ライブラリー)

著:廣瀬 雅代、稲垣 佑典、深谷 肇一 「サンプリングとは簡単にいうと、数が多すぎたり、規模が大きすぎたりして全容の把握が難しい対象の特徴を、全体から抜き取った一部を調べることによって明らかにする方法です」。 サンプリングの本。統計学、社会学・…

〈オールカラー版〉 魚はエロい

著:瓜生 知史 海中の生物の様々な生殖行動について紹介した本。タイトルも文章も、少しふざけているような軽い感じがする。しかし、そこにだまされてはいけない。表面的な書きぶりはともかく、本文で取り上げられている中には、かなり珍しい瞬間を観察した…

統計学が最強の学問である

著:西内 啓 大ベストセラーになった統計学の本。その有用性について実用面から解説している。果たしてどこまで一般向きといえるかどうかはともかく、ポイントを押さえながら幅広い説明を行っており、内容的自体はとても良い本です。 前半は、あみだくじやコ…

マンガ ホーキング入門―天才物理学者の人生とその宇宙論

著:ヨセフ・マッケヴォイ、イラスト:スカー・サラーティ (イラスト)、訳:杉山 直 ホーキングの歩みを知るという点に限れば、興味深く読めました。ホーキングを中心に他にもいろんな科学者が登場するし、読みやすい。そもそも簡単なテーマではないので、う…

富士山大噴火が迫っている! ‾最新科学が明かす噴火シナリオと災害規模‾ (知りたい!サイエンス)

著:小山 真人 富士山は活火山である。そして、著者によると、今の富士山の状態は、寝ている人がちょうど「寝返りをうった状態」ということだ。 日本をよく知らない外国人であっても、Mt. Fuji はたいてい知っている。日本人にとっては桜と並んで日本を象徴…

「流れる臓器」血液の科学―血球たちの姿と働き

著:中竹 俊彦 「私は、マスコミが広めた『血液サラサラ』『血液ドロドロ』は、医学や科学科学の立場からはふさわしくないと考えます。『血液型性格診断』など論外のことです」。血液の成分、働き、赤血球や白血球などの役割、仕組みの概要についてわかりや…

なぜ蚊は人を襲うのか (岩波科学ライブラリー)

著:嘉糠 洋陸 マラリア、フィラリア症、デング熱、日本脳炎、西ナイル熱、ジカ熱。蚊にさされることはかゆくなるというだけでなく、人類に病気をもたらしてきた。蚊の研究は、この点において、単に生き物の生態を調べるという以上の意義を持つ。 蚊は、双翅…

ホーキング、宇宙と人間を語る

著:スティーヴン ホーキング、レナード ムロディナウ、訳:佐藤 勝彦 「M理論はアインシュタインが夢見ていた統一理論です。単なる素粒子の集まりである私たち人間が、私たちと宇宙を支配する法則の理解にここまで近づいていることは偉大な勝利です」。 ホ…

ホーキング、自らを語る

著:スティーヴン・ホーキング、監修:佐藤 勝彦、訳:池 央耿 「二十一歳で筋萎縮性側索硬化症が発症したときには、ひどく不公平に思った。どうしてこんな目に遭わなくてはならないのだろうか。人生、もはやこれまでで、多少は自負していた能力もついに発揮…

排泄物と文明: フンコロガシから有機農業、香水の発明、パンデミックまで

著:デイビッド ウォルトナー=テーブズ、訳:片岡 夏実 著者の計算によると、2010年に全世界ですべてのウシ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリが排出した畜糞の量は141億3645万トンになるという。これは353億4112万5000立法メートルに相当し、標準的なサッカー場(幅60…

異端の統計学 ベイズ

著:シャロン・バーチュ マグレイン、訳:冨永 星 自動翻訳、音声認識、金融取引、スパムメール退治、天文学、遺伝子工学、テロ対策、ロボット工学、人工知能、海洋生物調査、レコメンド・フィルター、医学研究、軍事、Eコマース、神経生理学、暗号解読、他…

日本の伝統 発酵の科学 微生物が生み出す「旨さ」の秘密 (ブルーバックス)

著:中島 春紫 「発酵と腐敗を区別するのは科学ではなく、文化である」(小泉武夫)という。食品を保存し、うまみを引き出し、消化吸収と栄養価を向上させる。発酵という言葉の定義はあいまいで、細菌による発酵をともなわない紅茶の発酵も発酵とされるが、…

見えない巨大水脈 地下水の科学―使えばすぐには戻らない「意外な希少資源」 (ブルーバックス)

著:日本地下水学会、井田 徹治 「現在のような地下水の浪費を続けていけば、やがて世界の穀物生産は減少し、深刻な食糧危機を招くことになる。すでにその兆しは各地で表面化しつつある」(レスター・ブラウン博士)。 本書を読むと、上記の指摘はオーバーで…

銀河のすべて (ニュートン別冊)

銀河系の全体像。ブラックホール。銀河同士の衝突。ダークマター、ダークエネルギー。銀河について、解説した科学雑誌Newtonの別冊である。オールカラーで、Newtonお得意の美しいイラストや写真がたくさん掲載されており、視覚的かつ直観的に銀河について理…

脳をどう蘇らせるか (岩波科学ライブラリー)

著:岡野 栄之 中枢神経系の再生は極めて精密で、再生が難しいと考えられてきた。本書は、神経幹細胞に着目してその中枢神経系の再生方法についてのとっかかりをつかんだ研究者が、その研究内容について説明した本である。後半では、自らの研究の足跡につい…

死なないやつら

著:長沼 毅 極限状態に耐えられる生物や生命の進化の原理について紹介しながら、生命ついての見解をまとめた本。著者は、極限環境の生物学を専門とする大学の准教授。 不死身で有名なクマムシ。脱水し、水の代わりにトレハロースで体内を満たすことで、クリ…

宇宙、深海、高山。人間の体が限界ギリギリの環境にどこまで適用できるか徹底解説。『人間はどこまで耐えられるのか』

著:フランセス・アッシュクロフト、訳:矢羽野 薫 「長期の(宇宙)飛行では赤血球の数が少しずつ減り、骨からカルシウムがにじみ出て、筋肉が萎縮する。このような変化のほとんどは六週間ほどで安定するが、骨の損傷はずっと続き、一年におよぶミッション…

祝イグノーベル賞受賞!「メスがペニスを持つ昆虫の研究」で世界を驚かせた画期的な研究成果。「昆虫の交尾は、味わい深い…。」

著:上村 佳孝 「メスがペニスを持つ昆虫の研究」の業績により、2017年の「イグノーベル賞」の共同受賞に輝いた学者が、昆虫の交尾研究について熱く語った本。著者が「イグノーベル賞」に選ばれたのはこの本が出版された後なので、それについては書かれてい…

ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー

著:NHK「ゲノム編集」取材班 2015年7月30日のNHK『クローズアップ現代』用に取材した内容を元に本にしたものである。「クリスパー・キャス9」と呼ばれる手法を中心に、画期的な遺伝子編集技術の発明とその広がりについて追ったものである。 ゲノム編集技術…

トコトンやさしいアミノ酸の本 (今日からモノ知りシリーズ)

著:味の素株式会社 タンパク質はアミノ酸がつながってできている。よって、アミノ酸は生き物に欠かせない物質である。アミノ酸はペプチド結合(アミノ基とカルボキシ基がつながった結合)によってペプチド(アミノ酸が2~数十個つながったもの)になり、さ…

「ありがとう」と書いた紙を貼った容器で凍らせた氷の結晶はきれいで「ばかやろう」と書いた紙では汚い結晶になる?「水はなんにも知らないよ」

著:左巻 健男 水に関しての様々な疑似科学を紹介してそれについての検証を行い、科学リテラシーを身につける必要性を説く本です。タイトル自体に「水は答えを知っている」という本への批判がこめられています。 水は答えを知っている―その結晶にこめられた…

ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃

著:小林 雅一 タイトル通りの本。ノーベル賞受賞が確実視されているエマニュエル・シャルパンティエ(Emmanuelle Marie Charpentier)とジェニファー・ダウドナ(Jennifer Anne Doudna)の女性2人の共同チームが試験管内でクリスパー(CRISPER)によるDNA編集に成…