密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

科学

オールカラー図解 日本列島の未来

著:中島淳一 日本は地震が非常に多い国である。近年は都市部に近いところでの大噴火は無いが、富士山の大噴火もいつ発生してもおかしくない。一般になじみはそれほどないかもしれないが、最後は約7,000年前に発生しているカルデラ噴火が再び発生した場合は…

ChatGPT&生成AI 最強の仕事術 ―すぐに役立つ「AIツール100選」― (日経BPムック)

2022年11月末に公開された対話AI「ChatGPT」は、豊富な学習結果に基づき人間が書いたかのような自然で滑らかな文章を生成したり対話する能力を持ち、世界に大きな衝撃をもたらした。本書は、日経クロストレンドの記事からChatGPT関連のものを集めて構成した…

1992年に登場してから読み続けられている名著。「ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学」 (中公新書)

著:本川 達雄 ネズミであろうとゾウであろうと、哺乳類の一生の心臓の拍動数は約20億回。呼吸する回数では約5億回。動物の種類は関係ない。こういったような、生き物のサイズと特徴の関係を説明した本。 肉食獣は草食獣の10倍の行動半径を持つ。一方、草食…

毒があるのになぜ食べられるのか

著:船山 信次 主に食べ物に含まれる主に有機化合物の毒について紹介した本。天然のものが多いが、化学物質についても一部にある。 また、腐敗などによって生じるものや、病原菌、ウィルスについても解説している。科学的に実証されている薬との組み合わせに…

これが物理学だ! マサチューセッツ工科大学「感動」講義

著:ウォルター ルーウィン、訳:東江 一紀 「わたしの目標は、学生たちに物理学を好きにさせることと、物理の世界を違った角度から見せることであり、これは生涯変わらない!教えるものが地平を広げてやれば、学生たちは今まで絶対にしなかったような質問を…

ジャレド・ダイアモンドの出世作。「人間の性はなぜ奇妙に進化したのか 」

著:ジャレド ダイアモンド、訳:長谷川 寿一 気になるテーマを正面から扱った本です。原著が1997年に出版された際に、翻訳者が米国から取り寄せようとしたら、ポルノ扱いされて通関できないから送れないという返事が届いたことがあったそうです。 文庫化に…

世界史を変えた新素材 (新潮選書)

著:佐藤 健太郎 金、陶磁器、コラーゲン、鉄、紙(セルロース)、炭酸カルシウム、絹(フィブロイン)、ゴム(ポリイソプレイン)、磁石、アルミニウム、プラスチック、シリコン。人類の進歩において重要な役割を果たした素材を選び、それぞれの研究と応用…

ロケット、人工衛星、惑星探査。さあ、宇宙へ。『宇宙はどこまで行けるか-ロケットエンジンの実力と未来』

著:小泉 宏之 ロケットを中心にした宇宙工学の本である。一般向けなので科学式などはほとんど出てこないものの、実際に研究開発に従事してきた人が、科学・工学的にきちんと書いている。どうしてこれが、BlueBacksではない一般の新書なのだろうかと思うくら…

2018年ノーベル賞受賞の本庶佑氏が、がん免疫治療について2016年の京都賞受賞時に行った講演録や、2014年の対談他をまとめた本。『生命科学の未来 〔がん免疫治療と獲得免疫〕』

著:本庶 佑、対談:川勝 平太 「2016年3月に発表された『New Science』という英国の科学雑誌の記者が、『我々は今、がんにおけるペニシリンの発見というべき時期にいる』と述べています。ペニシリンは全ての感染症を治したわけではないが、それに続く一連の…

宇宙はどのような構造をしているのか。「図解 宇宙のかたち 『大規模構造』を読む 」

著:松原隆彦 宇宙の構造を説明した本。とてつもなく大きなテーマであるが、多くの研究成果や理論を紹介しながら、きわめて明快かつシンプルに書かれていることが特徴である。無駄な記述は避け、重要なポイントはここ、という感じの解説を重ねているため、宇…

宇宙は無から始まった。「宇宙が始まる前には何があったのか? 」

著:ローレンス クラウス、訳:青木 薫 「なぜ何もないのではなく、何かが存在するのだろうか?」ということに対する答えのひとつは、「存在するとはいっても、長くはない」ということになるのだという。 我々が住んでいるこの宇宙はかつて無(時間や空間も…

科学の迷信や、歴史に残るねつ造事件。日本の石器発掘事件も。「科学の迷信 世界をまどわせた思い込みの真相 」

編集:ナショナル ジオグラフィック 科学の迷信や、歴史に残るねつ造事件を100件取り上げて紹介した本。ナショナルグラフィックスらしく、写真が多く掲載されている。100件の中には、日本の旧石器発掘ねつ造事件も取り上げられている。 ジャンル別に、「物理…

体と病気の科学知識 (ニュートン別冊)

科学雑誌Newtonの別冊。タイトル通り、人間の体と病気について、過去のNewtonに掲載された記事をまとめた内容になっている。 大腸の悪玉菌はタンパク質を食料にするというのは知らなかった。腰痛の多くは実は原因不明。歯周病菌は、心筋梗塞、脳梗塞、動脈硬…

土 地球最後のナゾ 100億人を養う土壌を求めて

著:藤井 一至 アメリカ農務省の土壌分類(Soil Taxonomy)に基づき、地球上の土の特性について説明した本である。 この本の特徴としては、大きく2点ある。まず第一に、12種類のすべてにおいて、著者が代表的な場所に赴いて調査した結果と共に解説が行われてい…

日本の土: 地質学が明かす黒土と縄文文化

著:山野井 徹 日本の土の特徴について解説している、大変読みごたえのある本である。日本はプレート活動及び火山活動が活発な位置にあるため地質構造の変化が頻繁である。赤玉土や鹿沼土は火山灰。しかし、関東ローム層が火山灰というのは誤解で、クロボク…

つながる脳科学 「心のしくみ」に迫る脳研究の最前線

編集:理化学研究所 脳科学総合研究センター 「本というのは一人で書くのに越したことはないのですが、脳研究の最前線を隅々までわかっている人はいないのです。…(中略)…一人の研究者がすべての最先端の脳研究について熟知することは、ほとんど不可能なほど…

科学の困ったウラ事情 (岩波科学ライブラリー)

著:有田 正規 科学研究分野の問題点と著者の考える方策を書いた本。雑誌の連載を一冊にまとめたもの。著者は生命情報科学を専門とする理学博士。主に生命科学の分野をテーマにした本だが、嘆きを交えた半分エッセイのような感じで書かれており、特に前提知…

雪の結晶は、似ているものはあっても、全く同じ形と大きさのものは2つと無い。「雪の結晶: 小さな神秘の世界」

著:ケン・リブレクト、訳:矢野 真千子 雪の結晶は、似ているものはあっても、全く同じ形と大きさのものは2つと無いという。実際、星形ひとつとっても、成長の分かれ道になるポイントは100くらいあるからその組み合わせは膨大な数になる。六角形、針形、矢…

無限 (岩波科学ライブラリー)

著:イアン・スチュアート、訳:川辺 治之 無限について、昔の哲学的な主張も紹介しながら、エッセイ風に紹介した本。著者はイギリスの学者。最初に、無限に関する以下の9つの課題が載っている。 ・最大の数:∞=∞+1の両辺から∞を引くと、0=1? ・正方…

今さら聞けない科学の常識―うろおぼえを解消する102項目 (ブルーバックス)

編集:朝日新聞科学グループ 102の常識を、「身体・生命」「食品・栄養」「身のまわり」「地球・気象」「資源・素材」「宇宙」「生物」「IT」の7つの章に分けて掲載。元々一般新聞用に書かれていて、図や写真も豊富で、文章も大変わかりやすく書かれてい…

日本海 その深層で起こっていること (ブルーバックス)

著:蒲生 俊敬 日本海の広さは、世界の海域の広さの0.3%でしかない。いわばミニサイズの海である。 また、日本海は、それぞれ約10m、50m、130m、130mの水深しかない、間宮海峡、宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡の4つの海峡を通じて隣り合う海とつながって…

相対性理論 (岩波文庫)

著:A. アインシュタイン、訳:内山 龍雄 「この論文は物理学の論文の模範として、それを志す者は必ず一読すべきものであると思う。これは科学論文として最高の傑作であり、その論旨の展開の美しさは芸術作品と称えても、決して過言ではない」(訳者による「…

三つの石で地球がわかる 岩石がひもとくこの星のなりたち (ブルーバックス)

著:藤岡 換太郎 なかなか面白い本だった。少なくとも、かつて教科書等でいろいろな岩や石の種類をみてクラクラしてあまり興味を持てなくなった経験がある人は、これを読むといくらかすっきりした気持ちになれるかもしれない。岩石は様々な種類に分類される…

「超常現象」を本気で科学する (新潮新書)

著:石川 幹人 著者は幽霊の研究をしているが、幽霊は信じていないという。「宗教が『信じる』ことから出発するとすれば、科学は『信じずに距離を置く』ことから出発するという原則」があるからだという。このように、頭ごなしにうさんくさい研究にみられが…

実は危機に瀕している、おっぱいの知られざる真実。『おっぱいの科学』

著:フローレンス ウィリアムズ、訳:梶山 あゆみ おっぱいは、危機に瀕している。母乳には化学物質が濃縮され、乳がんはアメリカ人女性の死亡率第1位で、初潮年齢が早まったのに出産年齢は逆に高齢化したことが年齢に応じたホルモンのバランスを崩し、一時…

長さ、質量、時間、電流、熱力学温度、物理量、光度。『新しい1キログラムの測り方 科学が進めば単位が変わる』

(著:臼田 孝) 1mの長さを正確に伝えるため、長く国際メートル原器が長さの基準になっていた。しかし、1983年から、光が真空中を伝わる行程を基準にするようになった。このように、精度を少しでも高めるため、科学の進歩によって単位の基準が変わってきた…

人類の友であり、敵であり、過酷な環境にもいて、幅広い共生関係とネットワークを張り巡らせている。『見えない巨人―微生物 』

著:別府 輝彦 「微生物の生態についての研究はいま新しい時代を迎えています。そこで重要になるのは、微生物がほとんどあらゆる生物との間にめぐらしている広い意味での共生関係と、集団としての微生物細胞間で働く遺伝子と化学信号を介するネットワークの…

科学が歴史上もっとも本気で幽霊に迫った瞬間。「幽霊を捕まえようとした科学者たち」

著:デボラ ブラム、訳:鈴木 恵 科学技術が大発展を遂げた19世紀後半、心霊現象も科学の力で解明しようとする機運が生まれた。まずイギリスで心霊研究会(SPR)が、次いでアメリカ心霊研究協会(ASPR)が設立される。「テレパシー」や「エクトプラズム」といっ…

Newton別冊『最新iPS細胞』 (ニュートン別冊) (ノーベル医学生理学賞受賞の山中伸弥氏のインタビュー付き)

山中伸弥教授がiPS細胞の作製を発表したのが2006年。2018年にはそれから12年が経過した。本書は、科学雑誌Newtonに掲載されたこの12年間のiPS細胞関連の解説記事や山中氏をはじめとする著名な研究者たちのインタビューによって構成されたものである。ES細胞…

Newton(ニュートン) 2018年 08 月号 ~自動運転・猫の秘密・ハヤブサ2号・エピゲノム編集~

科学雑誌Newtonの2018年8月号。人工知能と自動運転の特集だったので、手に取った。自動運転にはレベル0からレベル5までの段階があること。人工知能によって人やモノを見分けることがクルマの自動運転実現に役立つことが期待されること。ドライバーの状態も…