密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

民族・文化

沖ノ島

著:藤原 新也 沖ノ島は島全体がご神体となっており、一般人の入島は制限されている。上陸するためには裸になって海で禊をしなければならない。また、この島は田心姫(たごりひめ)という女神そのものであり、女人禁制となっている。かつて島に入る者は一木…

地図で見るアラブ世界ハンドブック

著:マテュー ギデール 、翻訳:太田 佐絵子 アラブ世界は広く複雑な上に様々な問題を抱えている。本書は、アラブ世界の状況を歴史的な経緯も適時紐解きながら、カラー図解を多く用いて説明したものである。 イスラム教は本質的に政治と不可分であり、政教分…

図説 尻叩きの文化史

著:ジャン・フェクサス、訳:大塚宏子 つくづく、世の中にはいろんな本があるものだと思う。なんと、「尻たたき」の歴史である。しかも、「図説」。全編白黒なのが残念であるものの、様々な尻叩きの絵がたくさん掲載されている。著者はフランスの弁護士。 …

レジャーランドであり、性産業とも結びつくこともあった、かくも深い混浴の歴史。「混浴と日本史」

著:下川耿史 日本人と混浴の関係について調べた本である。混浴の歴史は長い。日本の入浴の歴史における変化は、混浴からの派生であるといってもよいという。 江戸末期に日本に来た外人に好奇の目で見られたことなどから、幕府やその後の明治政府は混浴を禁…

文庫解説ワンダーランド

著:斎藤 美奈子 「げに評論家とは恐るべきものなり。語るべき要素が少ない作品をどう語るか、という難問への、ひとつの回答がここにある。作品そのものには深入りせず、余った紙幅はできるだけ絢爛豪華な固有名詞で埋める。天ぷらを大きく見せる『はなごろ…

モダンガール論

著:斎藤 美奈子 明治から現代まで、日本女性たちが変わりゆく時代の中でどのように変わってきたかを、女性達の切なる向上の願いや欲望という視点から説明した本。歴史の本といっても堅苦しくはなく、語りかけるような文体で平易に書かれてあり、ぐいぐい引…

部首のはなし―漢字を解剖する

著:阿辻 哲次 なかなか面白いです。一気に読みました。部首という視点から、漢字にまつわるトリビアが次から次と出てきます。 「月」が、舟、肉、月の3つのルーツがあるとは知らなかった。「豆」は台の形から、「臭」が自と犬が組み合わさって、「燃」は犠…

ラスト・マタギ 志田忠儀・96歳の生活と意見

著:志田 忠儀 1916年山形県生まれのマタギが、90歳を過ぎてから周囲に勧められて書き始めた原稿を、整理・編集して一冊にまとめられた本である。 朝日連峰の麓に育って、子供の頃から山に親しむ。初めて熊を撃ったのは15歳の頃。鳴込(呼込ともいう)、通切…

「親米」日本の誕生

著:森 正人 面白そうなタイトルなので読んでみた。戦争に負けてボロボロになった日本。進駐軍に群がる人々、パイパンと呼ばれる売春婦のような負の部分、アメリカ的な考えや憧れ、民主主義の称揚、家電ブーム、自家用車ブーム、「奥様は魔女」。日本の戦後…

恐山の口寄せで有名な南部イタコ。厳しい修行の末それを受け継いだ女性の解説。「最後のイタコ」

著:松田 広子 恐山の口寄せで有名な南部イタコについて、厳しい修行の末、それを受け継いだ実際のイタコの1人が説明している本。適時、郷土史家による追加の解説が加えてある。 八戸の豊かな自然と信仰心に支えられて250年の伝統を有してきた南部イタコは、…