密林の図書室

人生は短く、経験からのみ得られることは限られます。読書から多くのことを学び、アウトプット化も本との対話の一部として大切なものだと考えてきたので、このブログを立ち上げて日々読んできた本の備忘録として活用しています。

歴史

スピードと集中の信長。「織田信長合戦全録―桶狭間から本能寺まで 」

著:谷口 克広 「信長が長期にわたる包囲戦の効果を理解できなかったはずはない。だが、嫌う傾向にあったとはいえる」。 信長の戦い方、特に桶狭間の戦いに関しては近年新説も出ていて、それに対する反論や諸説も出ているようだ。少し前の本なので、新説につ…

歴史的埋蔵金研究家が残した埋蔵金探しの詳細な記録。「日本の埋蔵金 」(中公文庫)

著:畠山 清行 「私は、『埋蔵金を掘りたい』という人がくると、まず『およしなさい』ということにしている。なぜなら、一歩踏み込んだらなかなか抜けられず、家も屋敷も財産もぶちこんでしまうからだ。赤城のように、証拠めかしいものでも出ればなおのこと…

タラと並んでヨーロッパを支えてきた魚。『ニシンの歴史 (「食」の図書館) 』

著:キャシー ハント、訳:龍 和子 ニシンは畜産が発達するまでヨーロッパの食を支える大切な食べ物であり、タラと並んで歴史を支えてきた魚であった。12世紀までにはヨーロッパの人々は主食のパンとニシンを常食としていたという。海洋権益という概念が生ま…

歴史的な重要人物を殺害した剣客たちの人物像やそれからに迫る。「あの方を斬ったの…それがしです 」

著:長谷川 ヨシテル 森蘭丸、井伊直弼、大久保利通、源実朝、坂本龍馬、太田道灌、真田幸村、斎藤道三、今川義元、他。歴史に名を遺す有名な人々を、戦で最後に打ち取った、もしくは計画的に襲撃して殺害したという実行犯に焦点を当てて紹介した本。 殺害さ…

日本のお吸い物や味噌汁も、スープの一種として紹介されています。『スープの歴史 (「食」の図書館)』

著:ジャネット クラークソン、訳:富永 佐知子 「西洋では、両手つきの小さなデミタスカップ入りブイヨン以外、スープは『飲む』ものではなく、スプーンで『食べる』ものだ。一方、東洋では、スープの具を箸で食べたあと、器に直接口をつけて汁を飲むのが正…

信長と消えた家臣たち―失脚・粛清・謀反 (中公新書)

著:谷口 克広 「短気、気まぐれ、傲慢、残忍、他人に厳格すぎること、執念深いこと、猜疑心が強いこと...(中略)...信頼できる史料だけで信長の性格を観察してみても、そうした認識は間違いではない」。 タイトル通り、信長の周辺に数多くの人々の屍が累々…

パンの歴史 (「食」の図書館)

著:ウィリアム ルーベル、 訳:堤 理 「新鮮さはそれ自体に価値がある。しかし歴史的に見ると、パンはあたたかいうちに食べられたことはなく、実際、現代にいたるまでの健康指南書は口をそろえて、焼きあがって1日おかなければパンを食べてはいけないと述べ…

考証要集 秘伝! NHK時代考証資料

著:大森 洋平 NHK職員向けの資料を基にしたオリジナル本。アイウエオ順に辞書形式になっていて多少単調ではあるが、「へえ~」の連続で、結構面白い。いくつか例を挙げる。 ・「空気」「青年」「単純」「結局」「自覚」「時間」「象徴」「神経」「信仰」「…

「日本統治下の朝鮮 - 統計と実証研究は何を語るか」について

著:木村 光彦 大日本帝国の一部だった頃の朝鮮半島の経済について、朝鮮併合から日本の敗戦による統治の終了まで、さまざまなデータを駆使して説明した本。日本が去った後に、南北朝鮮がその遺産をどのように生かしたかについても書かれてある。 韓国や北朝…

注意人物への日常的な監視、スパイ網を通じた市民の視察、盗聴、信書抜き取り、あいまいな理由での検挙と拘束、拷問、長期拘留。『特高警察』

著:荻野 富士夫 戦前・戦中を通じて猛威を振るった特高警察についての本。注意人物への日常的な監視、スパイ網を通じた市民の視察、盗聴、信書抜き取り、あいまいな理由での検挙と拘束、拷問、長期拘留。戦前を通じて日本国内では、特高警察の拷問による虐…

オレンジの歴史 (「食」の図書館)

著:クラリッサ ハイマン、訳:大間知 知子 最近の研究によると、オレンジの原産地は、中国南西部の雲南省とその周辺のインド、ビルマ、中国南部らしい。オレンジの歴史について書かれた本。西洋の話が中心だが、起源のような古い話については東洋や柑橘類一…

テンプル騎士団の謎 (「知の再発見」双書)

著:レジーヌ・ペルヌー、翻訳:南条 郁子、監修:池上 俊一 第1回十字軍後、エルサレムへのキリスト教巡礼者の安全を守るために生まれた修道士&騎士の団体であるテンプル騎士団について解説した本。著者はフランスの中世史を専門とする歴史家。ビジュアル…

パイナップルの歴史 (「食」の図書館)

著:カオリ・オコナー、翻訳:大久保 庸子 パイナップルは世界的にバナナに次いで最も食されている熱帯果実である。そのままで、あるいは缶詰やジュースやカクテルとして、いろいろな料理に添えるものとして、利用されている。 西洋人がこの果物と出会ったの…

将軍直系の子供たちは短命。子づくりマシンだった将軍様。「徳川将軍家十五代のカルテ 」

著:篠田 達明 徳川将軍15代には、「長命の将軍ほど色欲が盛んで子沢山である」と「平均寿命を計算してみると、およそ51歳である。平均寿命より短い者は、家茂を除いて将軍直系の子供たち」という特徴があるという。 著者は医師であり作家である。本書は狙い…

「親米」日本の誕生

著:森 正人 面白そうなタイトルなので読んでみた。戦争に負けてボロボロになった日本。進駐軍に群がる人々、パイパンと呼ばれる売春婦のような負の部分、アメリカ的な考えや憧れ、民主主義の称揚、家電ブーム、自家用車ブーム、「奥様は魔女」。日本の戦後…

大きな縄張図で歩く!楽しむ! 完全詳解 山城ガイド

監修:加藤理文 タイトル通り、全国にたくさんある山城跡から特徴的な城を選んで緻密に描かれたカラーの大きな縄張り図によって紹介した本。30 x 21[cm]と、大きめのサイズになっていて、その上、オールカラー。取り上げられている城の数自体は34城と、それ…

図説 イスラム教の歴史 (ふくろうの本)

著:菊地達也、大渕久志、矢口直英、平野貴大、相樂悠太、堀井聡江、西野正巳 この本の「はじめに」に書かれているように、イスラム教は世俗に屈して形式や精神だけが中心になってしまった宗教ではない。今なお状況に応じて変化して「生き続けている」宗教で…

武士の家計簿 ―「加賀藩御算用者」の幕末維新

著:磯田 道史 江戸時代末期の下級武士に関する歴史研究の成果をまとめた第一級の研究報告資料である。しかも、大変面白く、現代に生きる我々にも通じる様々な教訓がにじんでいる。 磯田氏が史料を発見し、この本を世に出すまで、世間的には全く知られていな…

敗戦直後の混乱とどさくさ。「終戦直後の日本 教科書には載っていない占領下の日本」

著:歴史ミステリー研究会 玉音放送の後に特攻へ飛び立った人たち。8月15日以降もソ連の対日参戦などで帝国陸海軍は18万の死者を出している。多くの人が恐れた米軍の上陸の日。がれきとなった日本軍の飛行機がところ狭しと置かれている厚木飛行場。喜びを爆…

国旗で読む世界史

著:吹浦 忠正 日の丸をはじめとする国旗にまつわる話やエピソードについて書かれた本。著者は1964年の東京オリンピックで国旗の担当を務め、1998年の長野五輪でも儀典担当顧問を務めた。最初の8ページの口絵部分のみカラー印刷。 東京五輪と長野五輪では「…

富原文庫蔵 陸軍省城絵図

著:富原 道晴 現在は城ブームだが、城郭含め江戸時代の姿がそのまま残っている例は多くない。しかも、かつて全国の城がどのような姿であったのか、きちんとまとめて残されている資料も意外に少ないそうだ。もっとも重要とされるのは、各藩から提出された絵…

文明に抗した弥生の人びと

著:寺前 直人 弥生時代には現代のような日本という概念はなく、その文化的な特徴は地域や時代ごとに異なっており、新たな文化の受容度についても一律ではなく、特に東日本においては縄文時代から続く伝統の中で新たな文化がゆっくりと受容されていった地域…

やっと自虐史観のアホらしさに気づいた日本人

著:ケント・ギルバート 「結局、 (TBSのNEWS23から)三十分以上もインタビューを受けましたが、実際に番組に使われたのは一分前後で、しかも最後の最後の、ほとんど余談とも言える部分だけが編集され、私の『笑い』が、あたかも安保法案反対派を冷笑し、馬鹿…

いちばん親切な 西洋美術史

オールカラーで印刷良好な初心者向けの西洋美術史の本のレビューです。

世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」

美術史を扱った本でありながらビジネスマンにターゲットを合わせた話題の本のレビューです。

トリュフの歴史 (「食」の図書館)

グルメの食材として名高いトリュフはかつては「蛮族の食べ物」とされたものでした。そうしたトリュフの歴史を扱った本のレビューです。

今こそ、韓国に謝ろう

正しく韓国に謝らなければならないことを日韓併合時代を中心にやさしく振り返った本のレビューです。

よみがえる古代の港: 古地形を復元する (歴史文化ライブラリー)

著:石村 智 自動車も鉄道も高速道路も無い時代において、海路は今では想像できないくらい重要な役割を果たした。また、昔の日本の地形は埋め立てが進んだ現代とは大きく異なる。 本書は、地名やGPS衛星から撮影された画像などを手掛かりに古代の日本各地の…